【前回の記事を読む】「まじめなだけが取り柄だと思っていたのに…」毒親家庭で育った女性が職場で泣き出してしまったワケ

毒親から逃れる──心理的な距離を目指して

3.自己憐憫から、前を向くわたしに

「会社がつらくなると、逆に月に一度実家に帰るとホッとするというか、相変わらず母の顔を見れば胃がキュッと反応するし、母がわたしをののしると気分がむかむかしてきてしまうけれど、それがいいというのとは違うけれど、どこかで懐かしさのような安心感も感じていました。でも二、三時間もすると母の口調や皮肉に嫌気がさして、ああもうここにはいられないと思い自分のうちに戻るんです、一人きりのうちに」

「でも、会社で周りの人たちの目が気になればなるほど実家に行きたくなり、自分が実家にホームシックを覚えているような気がして、信じられない気がしてめまいというか吐き気というか、すごく嫌な気分になりました」

「自分で思うんです、あんなところに帰りたいなんて、どうかしているわ、この子。わたしってば何考えてるの? って。もう、自己嫌悪がどんどん強くなるんです。でもわかったんです、わかってしまったんです。それを先生に言いに、ここまで来たんです」

「わたしは、おまえはダメだと言われて、たたかれていないと何もできないんです。厳しくされて耐えていないと、どんどんだめになるんです。わたしはいけない子だから……優しい言葉をかけられると、すぐに思い上がって、甘えて、何もできなくなるんです。ほめられたりちやほやされたりしないと、人のことを悪く思って自分では何もしなくなるんです……」