【前回の記事を読む】「被害者の恨みや心の痛みは簡単にはぬぐえない」戦争で父を失った男の痛切な思い

戦争の原因

人類生誕一八〇万年、五〇万年前には北京原人が火を使ったとされている。

人類の歴史は戦争の歴史ともいわれる。現在も紛争は絶えないが、イスラエルの哲学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏の言う「インターネットの普及により、戦争を始めた首謀者や組織は白日の下にさらされることとなり、人類は戦争のない世界を実現することが出来る」という主張には私も納得できる。しかしこれも人間の性を考えれば楽観的に過ぎるかも知れない。

だがいかなる事態であれ平和への原動力となるのは民意即ち草の根の力、権力者では無いと信じて疑わない。さらに進めていえばいかなる事態、体制にあれ、権力者による上意下達の戦争には庶民は断固異議を唱え交渉による解決を主張しなければならない。

戦争による甚大な被害をうけるのはいつの時代に於いても庶民なのだから。その反戦の機運を高め確かなものにする為にも平和へのメルクマールとしてのモニュメントを大衆の力で建立し、権力者に委ねること無く戦いの歴史に終止符を打つ事を世界の人々が共通目標とする時期に来ているのではないだろうか。

モニュメントは、世界の人々から愛され、宗教性もイデオロギー性も無く、地政学的にも世界の人々が納得でき且つ安全な場所でなければならない。さらに言えば人類の英知そしてそのたゆまざる成長に思いが到る場所であればもっと良い。

私は退職直後観光で訪れ、クフ王のピラミッドを見る各国の人々の笑顔、手放しで感動する様を見て、一生に一度は行って見たい最大公約数の観光地は、クフ王のピラミッドだと確信した。上記の条件を満たす数少ない場所の一つであろう。その上その周りには遊休の広大な土地もある。

モニュメントは現代版ピラミッド、当然の事世界の人々や企業の寄付を募り現代の科学の粋を集めて作る。外壁は勿論ソーラー、周囲は緑化し未来都市を作る。内部は戦争ミュージアム。そして毎日世界各国から紛争による死者の氏名、性別、年齢、死因の報告を義務化し刻印する場所も設ける。モニュメントは死者の家族のよすがともなろう。

当然の事、難民の実数も把握する。それらを毎日世界に発信し毎年総括もする。その一方で大国の横暴で機能不全に陥っている国連を改組し紛争予防及び調停機能に特化したシンクタンク機能の充実した機関をこのピラミッドに置く。運営費はモニュメント建設と同様世界の大衆や篤志家又企業の寄附をもって充てる。