【前回の記事を読む】「お小遣いでは買えない物が欲しい!」そんな時、我が家では…

第一章 『現在の家族』と『我が家のルール』

習い事の始め方と終わり方

「先生! 頑張る気持ちがなくなったので、今日でやめます!」

これは小学生の碧が、習い事のヒップホップダンスをやめる時に先生に言った言葉。先生は苦笑いしながら、「分かりました。じゃあ、また頑張る気持ちが出来たら、いつでも来てね」と言った。

我が家の子どもたちが小学生の頃、習い事は二つまで、というルールを作っていた。三人いるので、金銭的負担や送迎の負担を考えても、一人につき二つが限界だし、あれこれやっても意味がないように思ったからだ。そして、その習い事の一つがピアノ。三人全員にピアノを習わせていた。

これは完全に私の希望で習わせていた。私は、小学生の頃からピアノを習いたくて、何度も母にねだったが、お金がないという理由で叶わなかった。それとともに、保育士になりたいという夢も、高校を卒業したら働いて家にお金を入れなければいけないという理由で叶わなかった。

今考えたら、アルバイトしてお金を貯めてから進学するとか、奨学金を借りるとか、方法はあったかもしれない。しかし、その当時、私の周りにそれを教えてくれる大人もいなかったし、インターネットもなく、自分で調べる方法も知らなかった。私が叶えられなかったことを子どもたちにやってもらいたい、と自分でも気づかないうちに思っていたのだろう。

良い先生にご縁があり、ピアノも安価で譲ってもらえた。子どもたちが発表会のステージでピアノを弾いているのを見るのが、とても楽しみだった。

実は、そんな話をしていた時に、「そんなにピアノが習いたかったなら、子どもに習わせずに、自分が習えば良かったんじゃない? もう大人なんだから、お母さんに頼まなくても習えるでしょ」と言われたことがある。しかし、今でもピアノを習うことが出来ずにいる私。なかなか過去との決別は難しいようだ。

話がそれてしまったのでもとに戻そう。ピアノを始めさせたのは私だが、やめる時期は、三人にまかせた。海は中学校を卒業するまで。碧、空は小学校を卒業するまで。改めて聞くと、三人とも「ピアノを習っていて良かった」と言ってくれるのが幸いだ。