【前回の記事を読む】「いままでの結婚生活はなんだったのか」認知症の妻に忘れられた男性が語る

ブログ始めちゃいました(^_^)v

32 Nowhereman 20xx/xx/xx xx:xx

友人達がガヤガヤと待合室のほうにやってきた。

「あら、ご主人、気を落とさないでくださいね」

「安子ちゃんはご主人のことを愛していたから、あれはなにかの間違いよ」

「そうよ、きっと昔読んだ小説の記憶がごっちゃになって」

「安子ちゃんは文学少女で小説をたくさん読んでたし、映画もよく見てたから」

「私たちのことは覚えているみたいだから、そのうち治るでしょ。ご心配なさらないで」と口々に慰め、失礼しますと出て行った。

僕は出口まで行って見送り、「お見舞いありがとうございました。また安子の見舞いに来てくださいね」と頭を下げた。

待合室に戻り、椅子に座ると、友人の一人がついてきた。先ほど作り笑いをしたように見えた女性だった。大学時代からの友人らしく、古木厚子さんといった。彼女に電話してこの病院を教えてもらった。彼女が隣りに座り「ご心配はいらないですよ。私たちのことは覚えているのだから。 私は安子ちゃんとは付き合いが長いので 彼女と昔話をすればきっと思い出してくれますわ」と慰めてくれた。

僕はまだ混乱していたので、ただ「はい」とだけ頷いた。

さらに彼女は「私の主人もここに入院しているの、 だからここをお勧めしましたのよ」と言った。彼女のご主人は脳梗塞で半身不随になって入院させていると話した。彼女のご主人もまだら認知症だそうだ。

「男手で看病は大変だから、私が主人の見舞いに来たときは安子ちゃんも看ますから。なんでもおっしゃってくださいね」と頭を下げ、病室のほうに歩いて行った。

ちょっと経って(次いつ来るのか)訊ねようと思い、彼女の歩いて行ったほうについて行った。扉が開いていたので中を覗くと、彼女がご主人の不自由な左足を拭いていた。

「厚子さん」と声を掛けるとびっくりした表情でこちらを向き、顔を(しか)めて首を小さく振り(ダメ)と目で合図した。僕は慌ててその場を離れた。後ろから意味が分からない怒鳴り声とドスンと音が聞こえた。

その後妻の様子を見に行くと寝ていたので、掛け布団を整えて帰宅した。なめ子ちゃんは自分の決断でソープ嬢になったわけだけど、僕はこの状況でどう決断すればいいのか分からない。困ったことだ。

33 なめ子 20xx/xx/xx xx:xx

初めまして。Nowheremanさんは砂漠に地図もコンパスもなく、一人で取り残された気分なんでしょうね。Nowheremanさんと奥様の人生が心配!