【前回の記事を読む】「必死に準備したのに…」怒りを覚えた銀行からの裏切りとは

プロローグ 銀行が融資してくれない!

GIGAスクール構想参画に立ちふさがった障壁

それまでに培った人脈のおかげで急場をしのぐ

最初はその方に融資をお願いするつもりはありませんでした。いや、お願いすれば聞き届けてくださるのではないかと、内心は思っていたのかもしれません。それまでの事情を話しているうちに、融資のお願いになっていました。

「できれば、社長にもひとつ嚙んでいただいて……。そのう、お金を貸してくれませんか?」

「ふうん、いくらだ」

「10億」

社長は少し考えたあと、ニヤッと笑いました。

「竹本さん、あんたがちゃんと責任取るんだったら、その中国メーカーに金を払ってやるよ。たいへんだな」

地獄に仏とはこのこと。世間話のように10億円貸してほしいと言った私に、即答してくれたのです。このときの感謝の念を生涯忘れることはありません。この話には、後日談があります。おつきあいのあった会社の社長から融資を受け、私の会社が徳島県教育委員会にタブレットを納入できたことを聞き及んだのでしょう。A銀行が融資したいと申し出てきたのです。その額4億円。

正直、心中は複雑でした。私がどれほどの思いをして金策に奔走したのかわかっているのかと。私を信頼してくださる方から融資を受けられたからよかったものの、それがなかったら、タブレットを納入することはできず、徳島県に迷惑をかけることになり、当社の信用は地に()ちていたはずです。

けれども、4億円あれば受けた融資の一部を返済することができます。私はそれまでの経緯を水に流して融資を受けることにしました。