1 情報革命からシン・物流革命へ

スマート物流サービスの推進

内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では第四次産業革命時代におけるサプライチェーンの効率化を念頭に、スマート物流サービスの推進を図っている。

そのなかで、達成に向けての3つの柱があげられている。

(一)物流・商流デジタルプラットフォームの構築

ブロックチェーン※1などの技術を活用してセキュリティを確保したプラットフォームで、その構築にあたっては大量の物流・商流データを目的をもって処理する技術の開発が必要とされる。データプラットフォームともいう。

たとえば、セイノーホールディングスのグループ企業であるセイノー情報サービスは西濃エキスプレス、岐阜大学などの支援・協力を得て、実証実験を行い、物流の需給マッチングのプラットフォームの構築を進めている。メーカーなどの荷主企業の出荷データと物流事業者の持つトラックの求荷情報のマッチングを行っているのである。個々のトラック運送会社のネットワークではなく、業界共通のマッチングシステムとして、荷物と車両の情報を共有していくのである。

いわゆる「求荷(貨)求車システム」と呼ばれるビジネスモデルであるが、近年のSociety5.0に向かう流れのなかで、ここにきて、アップグレードが進み、プラットフォームの中核を担う存在となる可能性が高くなってきているのである。

また、宅配便大手も物流・商流のプラットフォームの構築に積極的な姿勢を見せている。

SGホールディングスグループの佐川急便は「EC事業者向けのAPI(Application Programming Interface:外部アプリケーション連携機能)プラットフォーム」の提供を始めている。APIプラットフォームを利用することでネット通販事業者と物流事業者が協同で課題を解決できる。

ネット通販サイトで商品を購入する場合、商流情報と物流情報は別々に処理されてきた。しかし、このAPIプラットフォームを利用することで商品の購入情報と配送情報が一貫して管理され、配送状況の照会や配達日時の変更がスムーズに行えるようになっている。

日本郵便は楽天と物流DXで物流領域における戦略提携を行い、両社のデータを共有し、新たな物流プラットフォームの構築を進めている。

他方、ヤマトホールディングスもDXの構築に取り組んでいる。ヤマト運輸とグループ会社7社を統合したワンヤマト体制でコーポレート本部を設置し、リテール事業、法人事業、グローバルSCM事業、EC事業の4事業本部と輸送機能、デジタル機能、プラットフォーム機能、プロフェッショナルサービス機能の4機能本部からなる組織改革を行った。

後述するデジタルインターネットへの強い関心などもふまえると、ヤマト主体の物流・商流のプラットフォームの構築にも大きな期待がかかる。


※1:取引履歴を暗号技術により、一連のチェーン(鎖)として維持する技術でデータの改ざんなどが難しいことから、暗号通貨などの運用にも活用される。