人間は膨張する四次元の空間に生きて死んでいきますが、人間が認識する世界は三次元に置き換えて科学的法則を固定したものと仮定して考えています。この陽の膨張する世界では真空の隙間から科学的法則が漏れ出して、枝が分かれて細くなっていくように進化していきます。正しい法則に近づいていきますが、それは狭く限られた範囲の真実でしかありません。この三次元の物質世界も長い時間をかければ崩壊していくものであり、変化が遅いというだけなのです。

人間は過去、現在、未来を考えて時間を決め、法則を変わらない正しいものとして用いていますが、すべての法則は近似値であって絶対的なものではありません。四次元の生命の時間と空間は一瞬であって、次の瞬間には変わっているのです。これが連続しているように見えるのは膨張する宇宙の中で変化の遅い物質世界に生命が宿るので時空が流れているかのように修正されるからなのです。このようにすべての現象の根本には不確定な乱れがあって、それを規則的なものであるかのように見せているのです。

この宇宙世界には相転移して希薄になった真空と、その中に物質でできた星などがあります。この宇宙世界にエネルギーが流れて千変万化しながら全体としては膨張を続けているのが我々のいる宇宙の姿なのです。

この宇宙世界にはさまざまなものがあり、人間など生物が生せいを営んでいるように見えますが、これらの存在はすべて閉じこもった素粒子とその集まりである物質が他のものを区別しているからに他なりません。例えば、水に浮かぶ氷を、水とは異なるものとして認識しているようなものです。

そして極小の原子の世界を見れば、物質として一つの(かたまり)を思い浮かべますが、原子核とその周囲を回っている電子との間は、広大な隙間だらけの空間です。確実な実在感のある世界に我々は住んでいるように思っていますが、実際は空虚な世界に住んでいるともいえるのです。物質の中では素粒子がエネルギーを交換して、物質としての塊を力で保持しているのです。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『陰と陽の世界』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。