第2節 食事と排泄に関する知識と援助を知る

2)食について

(3)食生活の支援

①食欲

食欲とは空腹になるとこれを満たそうとする欲求で、基本的な生理的欲求である。食欲の増加と減少に影響を与える因子は様々で、特定することで食生活への支援につなげられる。療養生活が必要になった場合でも、日頃の習慣を取り入れることで食欲をもつことができる。

例えば、食事前に手を洗う、洗えないのであれば手を拭く、配膳は清潔さや食べやすさを考慮する、食事の開始時には水分を摂取してのどを潤すといったことである。食事をする環境を整えることも重要で、五感(色、香り、触感、音)を刺激し過ぎない、不快な思いをしないことで食欲が維持できる。

②摂食動作

自分で食べることは普段の生活で当たり前だが、うまく食事が摂れないときは食欲も低下してしまう。可能な限り自分で食事をすることは重要だが、そのことで疲労してしまえば食事摂取が困難になる。食事介助を行う場合は、食事の準備を整え、食事に要する適切な時間で行う。また、食事の楽しみや満足感を満たすことにも配慮する。

摂食動作において上肢の機能障害がある場合は、機能障害の程度によって自立に向けた介助と自尊心を失うことのないように気をつける。また、視力障害がある場合には、食事前に食事内容を説明し、食器の位置の確認、お茶の熱さ、汁物をこぼさないように気をつけるといったことを確認する。

③誤嚥予防

食物や水分の飲み込みは嚥下といい、嚥下運動は「嚥下の5期モデル」によって行われる(図表1・嚥下のメカニズム)。

[図表1]嚥下のメカニズム

1.先行期:食物を認知する過程

2.準備期:食物を嚥下しやすいように咀嚼する食塊形成の過程

3.口腔期:咀嚼した食塊を嚥下反射が起こる場所まで送る過程

4.咽頭期:嚥下反射により食塊を食道口へ送る過程

5.食道期:食塊を蠕動運動によって食道から胃へと送る過程