私は1日分の家庭生ゴミを蓋付きのポリケースに溜めておき、それをウチの旦那に頼んで庭に埋めてもらっている。

彼は、順次掘り起こしやすいところに埋めるだけで、庭木や草花のことは一切気にしない。しかし、それでもなにがしかの効果が現れてくる。

薔薇は大輪の花を付けるし、木々も青々と茂る。そして、1本あるネーブルオレンジの木はたわわに実を付ける。もちろん裏年に当たる時は控えめだが、結構楽しめる程度には実が成るのだ。

今春の収穫は例年を上回り、バケツに3杯ほど採れた。実太りも上々である。

それに何と言っても味が市販されているものとは全然違う。甘みも、酸味も強烈に強いのだ。これぞ生ゴミの威力である。

しかし、難問が一つある。(ひよどり)だ。鵯は、山でも市街地でも年がら年中見かける野鳥だから、「留鳥」的であるが、朝鮮半島から渡ってくる「渡り鳥」的一面と、北海道などから飛来する「漂鳥」的側面とを持っている。

鵯は平安貴族に飼育されていた鳥だと聞いても、にわかに信じがたい愛嬌のなさだ。近年は、鳴き声が甲高いので騒音「害鳥」とさえ見なされている。

私はネーブルオレンジの実が木で十分に甘く熟してから収穫したいと思っているのだが、鵯は少しでも甘くなると鋭いくちばしで次々穴を開けていく。

木の側にじっと立って見張りをしている訳にも行かないし、網を掛けるほどの熱情もない。食われるままに、おこぼれを頂戴しているのが現状である。

何かの用で木の側に近づくと、例の甲高い声でピーヨ、ピーヨとけたたましく警戒音を発する。本当に可愛くない鳥だ!

鵯にオレンジつつかれ駆け寄れば大穴残してピーヨピーヨと(愚女)

カエルの大合唱

30年くらい前、岡山県の玉島阿賀崎(たましまあがさき)に住んでいたが、お向かいは退職された元警察官のお宅だった。

ご夫婦には、とても親切にして頂いたのだが、署長さんにまで上り詰められたご主人はなかなかの趣味人で、彫刻、その他、数多い趣味の一つに家庭菜園があった。

それで、よくご自分の畑に植えられる苗の余ったものを我が家に持って来て下さった。お陰で、我が家でもトマトやグリンピースなどを見様見真似で栽培して楽しませてもらった。

岡山で暮らしていた時の我が家は、敷地は100坪くらい有ったのだが、その中に建っている家は本当に小さな平家だった。四方溝に囲まれていて、いつも少し水が溜まっている状態だったからか、夏になるとカエルが活動し始める。

小さいシュレーゲルアオガエルから、大きなウシガエルまでいて、どうしてこんなに種類が豊富なんだろうと思ったものだ。

そして、外国産のカエルが多いのには驚いた。人間が連れて来たのには違いなく、当初は色んな目的があったのだろう。

台風が去った翌日、シュレーゲルアオガエルが庭先のベランダに入り込んできた時は、飽きずに眺めたものだ。

あまりに小さく、色鮮やかで、可愛い。生き物とは思えず、美しい飾り物という感じがした。

ウシガエルは、食用ガエルとも呼ばれる。味が鶏のささみに似ているので、1920年代には窮乏する農村に養殖を奨励していたらしいが、日本ではカエルの肉は定着しなかった。そのためウシガエルは捕獲されることもなく、自然増殖してしまったらしい。

結果、田んぼとは無関係な我が家の溝でも毎夜鳴き声を競う事になる。

ゲロゲロ、ブオーッ。ゲコゲコ、ブオーッ。

夜中寝静まってからでも、うんざりするほど大合唱は続くのだった。