酷暑の中で
カッと輝いた夏の陽は
情け容赦も無く舗道に照りつけ
若い女の肌を黒くこがしている
見よ、川の向こうに陽炎が ──
花が三本枯れている
車の止まっている街角は明るく熱い
故知らぬ悲しみはとまどったように
白い明るさの中にただよっている
もはや急いでも無駄なことだ
正しいことがいつも良いとは限らない
あの女はそのことを知っていたのだろうか?
暑い風が吹き抜ける
汗が体中から吹き出る
あきらめ切れない想いがいつまでも私を苦しめる ──
黒い花Ⅱ【第1回】
心がくずれる瞬間“悪魔の時”……
あの女(ひと)の目、あの女(ひと)の胸――それが私を惑わす。繊細な詩と艶やかな油彩画が織りなす珠玉のアンサンブル。※本記事は、大伴健氏、長友良憲氏の書籍『黒い花Ⅱ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
カッと輝いた夏の陽は
情け容赦も無く舗道に照りつけ
若い女の肌を黒くこがしている
見よ、川の向こうに陽炎が ──
花が三本枯れている
車の止まっている街角は明るく熱い
故知らぬ悲しみはとまどったように
白い明るさの中にただよっている
もはや急いでも無駄なことだ
正しいことがいつも良いとは限らない
あの女はそのことを知っていたのだろうか?
暑い風が吹き抜ける
汗が体中から吹き出る
あきらめ切れない想いがいつまでも私を苦しめる ──