さて合気道部に入り大学四年間はみっちり合気道の稽古に明け暮れ、それなりに段位もいただきました。学生時代の合気道、合気道部の稽古はとにかく厳しかったです。特に受け身の練習は百本! 後ろ受け身百本です。腹筋を鍛えてないと後半は起き上がれなくなります。前受け身は道場の外でも行い、道場前のコンクリートの上で前受け身もしました。円く回転すれば痛くはなくスムーズに回転し受け身ができるのです。

一年先輩の設楽さん(後に登場する大手飲料メーカーの先輩で開店の際も随分とご指導もいただきお世話になり、石田さん高木さんの同期)はコンクリートの上で跳び受け身もしていました。

月曜日水曜日の夜練習は道場での稽古の前にトレーニングがあります。トレーニング場所は道場から走って二十分弱、距離にして約三㎞の護国寺です。改めてネットで調べてみたら目白駅から徒歩二十九分、距離三㎞と示していました。道着に裸足で走りました。コンクリートの道路を走るも小石などもあるから、小石を踏んだ時は「いてぇ~!」と飛び上がりながら走りました。

シューズを履いて走ればもっと楽にケガしないで走れるのに! と多分全員が思っていたことですが裸足で走るんです。道着にシューズは合わない! とまずは恰好、見た目の問題からでした。

私たちが子供の頃に流行ってたTV番組には『巨人の星』、『柔道一直線』、『おれは男だ!』、『あしたのジョー』等がありましが、『柔道一直線』も柔道着に裸足でランニングしていましたし、『おれは男だ!』の主役(どこかの知事を務めていました)も浜辺を剣道着に裸足で走っていました。

何故か、その後夕陽に向かって青春のバカヤロー! と雄叫びをあげてたのを覚えています。だから道着には裸足で、シューズを履くなど考えもしませんでした。小石を見つけ避けながら走るんだから余計に疲れました。

そして護国寺に着いたら昔の運動部定番の腕立て伏せ、腹筋、手押し車、スクワットそして最後はうさぎ跳びのフルコース。水分補給などは無く休憩は腹筋に先輩が乗ってくるときくらい。根性! 根性! そして根性! です(今じゃ考えられないようなトレーニングでしたけど辞めずに続けて良かった!)。

護国寺まで走って行ったら当たり前ですが走って帰らなければなりません。道場に帰ったら一年生は畳の上を掃除し、掃除終わり次第合気道の稽古が始まります。道場での稽古が終わったらもうヘトヘト。

しかしまだまだ(気合だ! 気合だ! 気合だ~!)。稽古終わったら先輩達の袴をたたみ、畳の上を掃除し、すぐ着替えて次なる稽古場? の居酒屋(今はありませんが目白駅側の大平山。お金がない時は学生証でお世話になりました)へ席確保のため走って行きました。

※本記事は、2022年3月刊行の書籍『居酒屋秋田や奮闘記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。