【前回の記事を読む】函館から都内の大学寮へ!「おっちゃん風」の先輩が次々部屋に勧誘に来て…

大学生活と合気道

その駅前の華天園の前で石田さん高木さんと別れ、几帳面で真面目な村田君は新宿紀伊国屋へ。私は特にやることもなく駅前パチンコ店へ(その当時パチンコはチュウリップ全盛で結構勝率は良かった。当然私も真面目?)。それぞれ寮の晩御飯に間に合うように帰寮し、一緒に食堂で食事終え、しばらくした頃に石田さん高木さんが部屋に入って来ました(ん? これはもしかして……)。

それぞれの椅子に先輩に座っていただき、私たちは部屋に造り付けのベッドに並んで腰かけました。早速「今日はご馳走さまでした!」とお礼を言い四人で改めての自己紹介や寮生活のこととかを話し終え、打ち解け落ち着いた頃に、石田さんから「合気道部へ入らないか?」と。石田さん高木さんが合気道部に入ってることも昼時に自己紹介で聞いていました。決して強引ではなく、優しく包み込み導く感じ。

村田君ともお昼の中華丼が頭に浮かんでいました。美味しかったなぁ。うずらの卵が三個も入っていた! しかもごっつぁん(ご馳走様の意味)でした。村田君とどうしようか? とお互いの表情を確認し合い迷っていると「寮には合気道部員が四人いるし、大丈夫!」(石田さん高木さん、そして山田さん佐藤さんの四人)「入ろうよ」とあくまで強引さはないが畳み掛けてきます。

そして「どこか入りたいクラブはあるの?」(昨日入寮したばかりでどんなクラブがあるのかも分からない! あるわけないじゃん!)「いやありません」と応えるしかありませんでした。そうすると一気に合気道部に入るしかないとの空気に包まれた感じ。そして入寮し二日目に合気道部への入部が決まったんです(まだ入学式前で東京に来てのスピード感が半端ない!)。

石田さん高木さんは相手(新入寮生の村田君と私)の不安な気持ちをくみ取り、相手の胃袋もつかみながら(中華丼で胃袋つかむなんてコスパ最高!)、間を取りながら一気に畳み掛けて来たのです。さすが合気道部の先輩! 相手の気持ち、状況を見極め、突っ込むのか? 様子を見るのか? この間合いが大事なんです。

後から聞いた話ですが、石田さん高木さんそして山田さん佐藤さん(寮の四人の先輩)も寮に入ってすぐに華天園で中華丼をご馳走になり、中華丼で釣られた口だったそうです。合気道部の伝統? です。新入寮生の胃袋をつかめ! と。

村田君と吉川君、鈴木君そして私の四人が寮から合気道部に入りました。毎年四人は寮から入部させよ! 中華丼で釣れ! いやご馳走しなさい! と言ったのか? 言わなかったのか?