第二章 “第2次所得倍増計画”の実施

(4)空路整備と物流改革

昭和30年代から始まった高速交通体系の構築により経済力は飛躍的に上昇し国民の生活は目を見張るほど豊かになっていった。新幹線をはじめとした鉄道網の充実と、高速道路をはじめとした道路網の整備は人の移動に革命をもたらし、物流にも大きな変化を生み出した。今から半世紀も前のことである。

現在、交通手段の技術開発は空に移ってきている。各国の自動車メーカーでは空を飛ぶ自動車の開発にちまなこになっている。さらにドローンの登場で低コストを目指した航空戦略が今後の交通革命を起こしていくのではないかと期待をさせる。ドローンで人を運び物を運ぶ。そういう世の中がすぐそこに来ている。空を使った交通と物流の革命が目前に迫っているのだ。

ただ、空は障害物がないだけに移動するのに甚だ便利であるが、危険も伴う。事故により空から落下をすれば人命は致命的であり、地上の生活にも大きな危険を与えてしまう。空を利用するにはその安全性の担保がまず最優先の課題となる。飛行自動車やドローンの実用化を図っていくには空路の整備ができてからでないと不可能であろう。

もし仮に事故を招いても被害を最小限に留める方法を確立しないと実用化は無理である。それらを実現すれば、まさに交通手段の大革命であろう。人は飛行自動車やドローンで短時間にどこにも行けるようになるわけだ。

人の交通手段ということでいえば街角に空の駅を作り、そこに飛行バスが到着して次の駅まで運行する。物流でいえば街角に物流拠点を作り、そこに物を陸路で運んでおけばドローンのトラックが各地へそれらを運ぶ。安全な空路が担保されればもう目前の技術である。さて、空路ができるかどうかだ。