第一章  ヨーロッパでの生活

アメリカに渡ってからの少年時代

カイトとの仲は相変わらずだが、ケントのお陰で楽しい学校生活が送れた。だがそのケントにカイトは許せない行為をしたのだ。

期末テストの最終日、ケントは数学の試験に挑んでいた。そしてテストの終了間際に、ケントの後ろに座っていたカイトが突然手を上げ、先生にケントがカンニングしていると言い出した。机の下にカンニングペーパーが貼ってあるのが証拠だと。

先生は慌てて机に近づいて行きケントと後ろのカイトを立たせて机の裏を確認すると、カンニングペーパーが貼ってあった。先生からケントは説明を求められたが、勿論ケントには身に覚えがなく、答えられるはずがない。

ボブはすぐに気付いた、カイトの奴が貼ったに違いないと。だが先生は、証拠のカンニングペーパーを手に持ちケントを連れて職員室へと消えていった。勿論ケントは身の潔白を訴えたが、カンニングペーパーが貼ってあったのは事実で、それを覆せなかった。そして後日、一人で再試験を受ける事となった。

学校が終わると三人一緒にバスで帰ってゆく。

三人にとっては行き帰りのバスは憩いの時間であった。

時間はあっという間に過ぎていき、クリスマスが迫っていた。この辺りは12月になるとすっかり雪化粧になり、街はクリスマスの飾り付けで一色になる。

そんなクリスマスの迫ったある日、カイトからクリスマスパーティーの招待状が届いた。二人は行きたくはなかったが、他のクラスメートは行くらしいので渋々行く事にしたのだ。

ある日カイトがボブの元へやって来て、

「おい、クリスマスパーティーではお前達が食べた事のない御馳走を用意してるから、朝から何も食わずに来いよ。それとクリスマスプレゼントはこっちで用意するから、お前達は手ぶらで来てくれ」と告げられた。