その後、国会でも何度も女性政治参加問題が取り上げられましたが、進展はありませんでした。二〇一四年、安倍内閣は「女性が輝く社会づくり」を掲げ、同年一〇月、政府は、全閣僚を構成員とする「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置しましたが、むしろ、状況は悪化の一途をたどっています。

二〇一九年一二月一八日、世界経済フォーラムが発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・リポート二〇二〇」、世界の男女格差の報告書では、各国の男女平等の度合いをランキング付けしていますが、日本は一五三ヶ国中一二一位でした(政治分野では一四四位で、経済分野では一一五位でした)。

アメリカが五三位、ロシアが八一位、中国が一〇一位、韓国、インドの下でした。女性の政治参加が進んでいないことが日本の全体の順位を押し下げています。二〇〇六年には八三位でしたが、年々順位を落とし、日本より下はイランやレバノンなどの問題国九ヶ国しかありません。

上智大学の三浦まり教授は、女性議員が増えれば育児や就労など女性の視点に立った政策が進められるようになるほか、男性議員の競争が激しくなり、結果として議員の質が向上すると言っています。

そのために必要なのが一定の議席数を女性に割り当てるクォータ制の導入だと教授は指摘しています。北欧で女性議員が多いのもクォータ制によるところが大きく、ノルウェーでは法律で一般企業にも導入され、女性の社会進出が進んだと言っています。

日本で女性の政治参加が進まないのは、政権交代など政党間の競争がなく、新陳代謝が進まないからだとも話しています(日本の政治が平成年間になって沈滞し始めたのは小選挙区制になって、政治家同士の競争がなくなったことです。江戸時代の幕藩体制の参勤交代と同じで公認された一党一派の二、三世議員が江戸と国元を四年間予算陳情に通っているだけです)。

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※本記事は、2022年4月刊行の書籍『劇症型地球温暖化の危機 太陽光エネルギー革命で日本を再生する』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。