(三)強靱で持続可能な物流ネットワークの構築

多発する豪雨などの自然災害やコロナ禍などのパンデミックの発生など、「BCP」(Business Continuity Plan:事業継続計画)を要求されるような事態が相次いで発生し、サプライチェーンの途絶が相次いでいる。

そのなかでも重要な課題としてあげられるのが物流ネットワークとサプライチェーンの維持・強化である。たとえば、「災害発生時に貨物の代替輸送のネットワークがしっかり構築できるか」「倉庫が被災した場合に備えてのバッファー在庫を分散して持ち合わせているか」といった課題への対策や準備をしっかりと行っておく必要がある。

ちなみにサプライチェーンの脆弱性を解消するために生産拠点の国内回帰を進める必要もある。代替生産やリスク分散拠点として国内に工場・設備、物流センターなどを新増設しなければならない。

また、国内のサプライチェーンの各拠点の雇用を促進していくことも求められる。物流ネットワークのさらなる強化を推進することが災害やコロナ禍で傷んでしまった日本経済の再生への道ともなるとの見方である。

Society5.0に代表されるスマート社会の進展、その一方での日本に暗い影を落とす少子高齢化社会と新しいライフサイクルを模索する働き方改革への流れ、そして大型災害やコロナ禍などのパンデミックなどへのBCPの視点から止めない社会インフラとしての役割と、物流・ロジスティクスがこれからの日本社会で果たすべき役割と期待はとてつもなく大きい。

このように、現在進行中の物流革命によって、現代日本の再生を支え、再浮上を担うだけの底力を発揮できることになるわけである。

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※本記事は、2022年5月刊行の書籍『シン・物流革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。