装丁家 Rose Adler

ローズ・アドラー 1890.9.23 パリ ─ 1959.3.15 パリ

ロンドンの有力画商ジョセフ・デュヴィーン男爵の甥で、デュヴィーン画廊のパリ支店に勤めていたマリーの忠実なナイト、アルマン・ローヴェンガールの紹介で知り合った本の装丁家で高級家具職人でもあったローズ・アドラーとマリーは大変仲良くなります。

パリに生まれたローズ・ベッティナ・アドラーは1917年から25年までパリの装飾美術学校に学びます。デザイナーのジャック・ドゥーセはマスラン館で装飾美術学校の生徒が作成した本の装丁の展示でローズの作品に注目します。

第一次世界大戦勃発の前日、美術評論家のロジェ・マルクスの息子レオン・ロジェ=マルクスと結婚しますが、夫はシュマン・デ・ダムで重傷を負いその後亡くなってしまいます。

婦人科医ジャン・ダルザスの病院兼住居としてパリ7区サン=ギョーム通り31番地にピエール・シャローの設計で建築された『ガラスの家』の照明システムや家具も担当し認められましたが、彼女は本の装丁家としてより有名になりました。

ローズはアルマンとともにロンドンのメイヤー画廊で、カタログの序文をサマセット・モームが書いたマリーの花の絵だけの展覧会を企画して実現させましたが、期待通りの成功は収められませんでした。

ローズはパリで亡くなりますが、人付き合いをあまりしなくなったマリーの1956年の死まで友人であり続けました。

※本記事は、2022年7月刊行の書籍『マリー・ローランサンとその仲間たち』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。