【前回の記事を読む】副作用で死亡の危険も…抗がん治療を続けるべきかの指標「副作用重篤度分類」とは?

食欲・便通・睡眠・体温でも体調をチェック

血液検査は通常、1か月か2か月に1回しか行われません。ですから、副作用重篤度分類だけではなく、自分の体調を把握する目安として、食欲、便通、睡眠、体温も参考にしてほしいと思います。

・食欲(食欲不振)

何らかの原因で自律神経のバランスが崩れると食欲不振に陥ります。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、ストレスなどで交感神経過多になると、食欲がなくなります。食欲不振の場合は、消化器系の虚弱や疲労、胃腸の冷え、ストレス、抗がん剤の副作用などが疑われます。

・便通(便秘・下痢)

交感神経が優位になりすぎると、排便を促す腸のぜんどう運動が弱くなり、便秘になります。これはストレスがかかっている1つのシグナルです。便秘が続くと腸内環境が悪化します。腸は免疫とも大きく関係があります。腸内環境が悪化すると、免疫力がダウンするので注意する必要があります。便秘・下痢の原因として考えられるのは、腸内環境の悪化、ストレス、抗がん剤の副作用などです。

・睡眠(不眠)

がん患者さんの多くが不眠を経験すると言われています。睡眠を促すのはメラトニンという脳内ホルモンです。メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれます。ストレスなどの影響で交感神経過多になると、メラトニンの前駆物質であるセロトニンが不足して不眠になります。がんを克服するには、セロトニンの分泌にかかわるセロトニン神経を鍛えることが大切になります。不眠の原因として考えられるのは、ストレス、運動不足、抗がん剤の副作用などです。

・体温(低体温)

体温は免疫細胞の働きと大きなかかわりがあります。実は、がん細胞は「冷え」が大好きです。低体温になると、血流が悪くなり、免疫力がダウンします。その結果、がんが増殖しやすくなります。がん細胞は35℃台の体温で最も活発に増殖します。免疫力をアップさせるには体温を上げる必要があります。体を温める習慣をつけましょう。

ちなみに、抗がん剤は体温を下げることがわかっています。つまり、免疫力を下げてしまうのです。低体温の場合、考えられる原因としては代謝障害、手足の冷え、ストレス、浅い呼吸、抗がん剤の副作用などがあります。これら4つの指標で日々の体調をチェックし、弱いところを重点的にセルフケアするようにしましょう。