戦争の原因

ところで戦争の原因は古今東西を問わずそのほとんどが、無知、強欲(利害)、偏見、内なる格差、権力欲、怨念に根差すものであろう。現代でも同じである。

因みに太平洋戦争を例にとれば、アメリカの強大さや民度の高さも知らず鬼畜米英と思い込まされていた大多数の庶民の無知。貧困家庭の女性の身売りに見られるような格差。満州を日本のものにしようとした強欲。中国や朝鮮を蔑視した偏見。軍部の権力欲。

それらが相互に作用する中で、大衆もごく一部(共産党など)の人々を除き権力への批判精神も無く付和雷同し戦争へと突き進んだと言える。

これらは倫理観に基づくものであり人間の愚かしさを顕しているが、昨今の世界情勢や日本の政治情勢などを見ても、噓の横行、為政者の空虚な言葉遣い、自国優先(他者の痛みを顧みない)、法律の未整備、宗教の堕落など倫理観の向上に資するべくもない。

又現代の民主主義の世界では民意が重要な役割を果たすが弱肉強食を是とする世論・弱いものいじめ・差別・ヘイトクライムなど倫理観はむしろ後退しているようにも見える。

唯一自然科学の目覚ましい進歩、例えば遺伝子組み換えによる食糧の増産など一縷の望みはあるが歴史は繰り返すと悲観的にならざるを得ない。

※本記事は、2022年4月刊行の書籍『嗚呼、人とは』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。