ただ、馬鹿は自分も同じだ。

何故、やり返さない! 何故、戦わない! 目には目を歯には歯を。暴力には暴力を! 無抵抗主義なんてくそくらえと。正当防衛を理由に暴力で解決出来たらどんなにスッキリすることかと毎回頭の中で相手をボコボコにするが、想像するだけで実行には移せなかった。

本当に悔しかった。

悔しくて悔しくてしょうがなかった!

何度拳を握り締めたことだろう。殴る一歩手前までいったこともあるが、やり返そうとすると母の悲しむ顔が浮かんでくる。親には迷惑をかけたくなかった。しかし、プロ(イジメっ子)はそこをついてくる。

やり返さないことをいいことにイジメはエスカレートしていく。イジメをする側の人間は自分より気の弱い人間をイジメることで自分の弱さを隠そうとしている。

満たされた人間がイジメなんてするとは思えない。

イジメる側は個々に事情があるにせよ、人の気持ちを理解してほしい。己の心の弱さを知ってほしい。

そして、イジメている側は生きるか死ぬかの瀬戸際まで相手を追い込んでいることに気付いて欲しい。人の道から外れて相手の命を奪う前に考えてほしいと切に願う。

※本記事は、2021年10月刊行の書籍『イジメられっ子の僕が愛を知った真夜中に』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。