例えば、子育てにおいて、玩具がよく壊れる。悪気はないのだが、器用ではないため、手加減なしの乱暴な扱いをしてしまうからだ。実は、経年劣化により自然に壊れてしまったのではなく、壊したのだ。

子どもに怒るのではなく、どうして壊れてしまったのか、玩具をどのように大切に扱ったら二度と壊れなくなるのかを、一緒に考えたい。モノの大切さを教え込む。すると、優しさと責任感が自然と芽生えてくる。

そして、思い出の靴・鞄・帽子などを新調する際に「これまで一緒にいてくれて、有り難う!」と言う口癖をつけさせよう。

また幼少期には、次から次へと出てくるティッシュ遊びをさせた。とても安全な遊びである。麻雀牌のガチャガチャ音も楽しいが、ティッシュのサクサク音も楽しいようだ。音だけでなく、手に伝わる触感がおもしろいと感じる。

子どもの直感を信じて、楽しいと感じることは、本人が飽きるまで、どんどんやらせるべきだ。脳が発達する。クシャクシャになったティッシュは、捨てないで、親があとで使えばよい。

シャボン玉遊びにおいても、溶液の調合やストローの形状や息の吹き方などをカイゼンしてみることで、いかにして大きなシャボン玉を連続して飛ばせるかの、試行錯誤の工夫をしてみるとおもしろい。

また、紙ヒコーキの飛行距離や滞空時間を、あの手この手の創意工夫を駆使しながら、競い合うことも然りである。

木工細工でコマをこしらえ、あるいは公園で拾ったどんぐりを使って、耐久レースで競うゲームも盛り上がる。

子どもが、躍動感に溢れるキラキラした目で、ワクワク・ドキドキの無我夢中になって没頭する成功体験をとことんさせた。子どもがときめいた本気のガッツポーズを、たくさん見てきた。

興味を抱き、熱中していることは、絶対にストップさせないことが基本である。興味をもった「コト」に対して、親の都合で阻害せず、トコトン最後まで付き合う。親の先入観や勝手なバランス感覚を当てにしない。

よって体験は、いろんな領域のものを満遍なくではなく、凸凹であってよい。

トヨタでは、自身のスキル磨きを図るために、自分をさらにブラッシュアップし、その道の達人を目指す「固有技術研鑽」という言葉が頻繁に聞かれる。子どもを、何かの達人にしてあげよう!

【前回の記事を読む】子どもに「麻雀牌」を与えるほうと、東大数学が得意になる理由

※本記事は、2021年12月刊行の書籍『「トヨタ式」子育て術』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。