商品の差別化

さて、利益を増やすことを目的とした販売先(輸出先)の拡大にも限界があります。現代では、必需品だけでなく便益品や贅沢品も概ね全世界に行き渡っています。前章でも取り上げたとおり、企業の目的は最大限の利益を上げることです。そのために商品に工夫を施します。他社製品との差別化です。

しかし、その差別化も徐々に分かりづらくなるので、あちらの商品よりもこちらの商品の方がこのような点で優れていると分かりやすく宣伝する必要が出てきます。そのため、多くの人がこれを使っている、これを使わないと時代遅れになる、限定一〇〇個、今なら二割引き、などの宣伝文句が使われます。

見た目の良い人やかわいいキャラクターで惹きつけて購買欲を掻き立てたりもします。時には、その商品を使ったこともない人があたかもそれを使ったおかげで……と演技をすることも、コマーシャルの常套手段となってきています。この方法は、平凡な人を使うことがポイントのようです。権威のありそうな人が、個人の感想という注意書き付きで、その商品またはその特徴が如何に良いものであるかをしゃべっているものも見かけます。

購買欲は、見ることだけでなく、聞くことからも刺激されます。映画の怖いシーンを見るとき、ミュートするとそれほど怖くなくなるくらい、音は感情に訴えます。コマーシャルでお決まりのメロディーを使っている企業が多いのは、そのメロディーを聞いただけで購買欲を刺激されるからです。

※本記事は、2022年2月刊行の書籍『 社会人による社会人のための資本主義とは』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。