趣味を持つこと

老人ホームに入ることを考え始めたら、先に述べたように時間がたっぷりあるので何か趣味(今までの趣味)を進化させることをお勧めします。ピアノが弾けたら、ホールにあるピアノを演奏すれば皆喜ぶと思うし、何かギターでも弾けたら小さな演奏会ができます。俳句を作っても良いし、編み物、刺繍などの手芸もよいので、自分がしたいことに磨きを掛ける時間がたっぷりあるなんて素敵です。

私の同期の男性4人で結成された「ブロードサイド4」は、高校時代(ビートルズが上陸した頃) 戦後、日本に流行り始めたアメリカンポップス、カントリーミュージック、フォークソングの演奏で、文化祭、学園の記念日などに駆り出され演奏していました。皆若く紅顔の美少年でした。

このグループは、今は「ローガンズ」というニックネームで(皆、よい年になり、老眼鏡なしでは楽譜が読めないので)全国各地でのイヴェント出演で忙しそうです。友だちが彼らのライブに行き「楽しかったわよ」と報告してくれます。高齢者になっても、さりげなくジーンズをはきこなし、得意な歌を歌い続けているなんて素敵です。これはほんの一例です。

老人ホームに入ることを決めたら、是非パソコンを持参してください。パソコン操作の基本的なことは、できれば入所前にご家族の息子さんなど、若い人あるいは友達に習っておくのがよいと思います。これからは、パソコンは若い人たちだけの道具ではなく、高齢者にとっても必需品です。好きか嫌いかは別にして、使える方が遙かに面白く世界が広がり、有意義な人生を送ることができると思います。

コロナ渦での世界的緊急事態で、世の中の在り方が大幅に変わります。最も変わるのは、アナログ思考からデジタル思考への転換。いわゆるデジタル・トランスフォーメーション(DX)です。

パソコンを使えるようになるには確かに、練習も専門用語の習得(デジタル・リテラシー)も必要です。

根気よく楽器を練習するように続ければ必ず報われます。友達とのメールのやり取りも昼夜を問わずできますし、コロナ渦で買い物に行けなくても、アマゾン百貨店で何でも買うことができます。少しずつパソコンを使い慣らしていくことを目標にして、日々励むのも決して無駄ではないと思います。

世界が広がること請け合いです。そこで私が若い人たちに切に望むのは「高齢者がデジタル・リテラシーを身につけられるように、ボランティアのグループなどが、高齢者のパソコン技術習得を応援してほしい」ということです。