ところで、話は変わるが、サラリーマン一般として資格とはなんだろうか? 就職する時に資格を必要とする職業とそうでない職業にすでに分かれている。Jなどは後者だ。

Jがかつて務めていた化粧品会社の営業マンには資格は必要なかった。今している仕事で頑張り、その会社で昇給、昇格していくことが、資格のようなものだった。

ある人は営業の仕事の中でボードがあれば、そこに文章も書き、その隣に文章をカバーする絵画面をさっさと描いたりすれば、周りから「上手だね、文章華やぐね」など賞賛を受けるのは間違いない。その人が、「いやぁ趣味でちょっとデザインの資格を持っているんです」なんて言うと、資格は楽しいもの、うらやましいと、その姿を変えるのだが……。

理事会の方は、人を納得させ、その場をリードしていく必要があり、そのため、時には法律を前面に出し、表示することも要求される。区分所有権を持つ人たちの集合体のため、人・物・金が絡んでくる。そのため、区分所有法や民法、建築基準法などを勉強し、習得している人が、運営にタッチしてほしいわけである。

しかし、現実は有資格者を必要だと考える人も少なく、資格にチャレンジしようとしても、受験料など負担しようという組合での制度もなく、また、資格の持つ組合員がいても、目立っては嫌だな……と思う場合もあるだろう。

弁護士たちの間では、マンションは〇〇〇〇の宝庫と言われているようだ。〇〇〇〇の四文字はトラブルとのこと。組合員それぞれが勝手な意見を出してまとまらないことを言っているとのことらしい。

資格を取得して参加しても、上記にあるいろいろな問題に取り組む根気が求められるということだろう。

※本記事は、2022年1月刊行の書籍『マンション理事会運営の手引き 』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。