次に、Web上の情報を使ったサービスの産業が発展しました。グーグルは、Web上の情報を検索するシステムを開発しました。それまでの検索システムは単にキーワードを探して示すだけだったのですが、グーグルを創設したラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、スタンフォード大学博士課程に在学していた1998年にたくさん引用されるページは重要度が高いページだとして、ページに順序付け(ページランク)をして、その順に検索結果を示すようにしました。この「検索エンジン」が一挙に普及しました。

その後、グーグルはインターネット上のさまざまな情報を扱う企業として急成長しました。ほかにもインターネットを用いてビジネスを行うさまざまな企業が成長しました。今、最も勢いのある企業の一つであるアマゾンは、Webを通してさまざまな商品を販売・配達するようにした企業です。

2007年ごろからスマートフォンが急激に普及し、Webを通した情報サービスが格段に発展しました。スマートフォンはまさに携帯コンピュータです。スマートフォンの仕組みを図29に示します。無線を介してインターネットとつながり、インターネットを介したサービスを利用することができるようになっています。

写真を拡大 [図表]スマートフォンの仕組み

そして、登録した利用者同士が交流できるソーシャルネットワーキングシステム(SNS)と呼ばれるサービスを行う企業が現れました。フェイスブックは、2004年に創業され、会員が自分のホームページにプロフィールを入れ、それを会員同士で公開する仕組みです。また、Twitterは、会員に対して個人のつぶやき(独り言)を投稿して公開するシステムです。

LINEは、主として個人同士もしくは少人数で無料通話(電話回線ではなく、インターネット上で、LINEのメッセージサーバーを介して通話する)するシステムです。いずれもインターネットの普及なくしては生まれなかったシステムです。

さらに現在、進んでいるのが人間だけでなく、あらゆる物をインターネットにつなぐIoT(Internet of things)です。文字通り、物のインターネットで、機械をはじめ、あらゆる物をインターネットにつないでその位置情報や稼働状況などの情報を取得し、物流の状況を把握したり、あるいは自動車の位置情報などを取得したりして事故回避や自動走行に役立てるなど、活用場面が広がろうとしています。

もう一つ現在、活用が進んでいるのが、人工知能(AI)と呼ばれる認知や判断、分析を行うソフトウェアの適用です。人工知能はこれまで何回もブームになりましたが、なかなか人間の経験的な判断や直観的な判断に勝ることができませんでした。

ところが、ニューラルネットワークを活用したディープラーニングなどによってたくさんの経験知識を覚え込ませることによって、自動的に正確な判断を行うことができるようになり、2017年5月にDeepMind社が製作した「アルファー碁」が人類最強と呼び声の高かったプロ棋士に勝利しました。

このようなプログラムは、論理的に思考して考えるのではなく、人間が経験から判断するのと同じようにコンピュータに事例をたくさん覚え込ませて、それによる判断が正しくなるように「学習」することにより、自動的な認知などを行うことができるようになるというものです。このような「人工知能」を活用して、これまで人間が経験で判断してきたものをコンピュータで判断させるといった適用が広がろうとしているところです。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『人と技術の社会責任』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。