放課後、重たい引継ぎ資料を抱えて生徒会室へ向かった。その資料の上には、新品のノートとクリアファイル。今日からの活動のために買ったものだ。クリアファイルからは、ノートの表紙に書いた『生徒会』の文字がはっきり透けて見えて、何もないみたい。これからここにたくさんの資料を入れることを楽しみにしていたはずなのに、何もないことが、心許ない。

生徒会室へ続く廊下の分厚い扉を閉めると、運動部のかけ声や吹奏楽部の練習音が入り乱れる“放課後の音”が、一段遠くなった。

生徒会室には優哉がすでに来ていた。部屋の大半を占める、四組の学習机と椅子の一つに座って、文庫本を読んでいる。

「準優勝おめでとう。まあ当然だけどな、師匠」

優哉は少しはにかみながら振り向いた。「葵まで師匠はやめろよ。当然じゃないよ、決勝は負けちゃったわけだし」

優哉でも敵わないことがある。俺は心に引っかかっていることを少しだけ出してみた。

「クラスは……、クラスはどんな感じだった?」

「新人戦のこと? 特に何もないかな。おれが剣道やってること知らない人も多いし、人の結果なんてそんなに興味ないだろう」

人の結果か……。俺が知りたかったのは新人戦の話ではなかったが、これ以上聞くのが怖くてやめた。

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