相続のサポート経験が豊富かどうか?

ここまで読んで頂いて相続は思った以上に簡単ではなくややこしいこともあることがお分かり頂けたかと思います。

私たち専門家でも手続きの方法に悩むことがあるのが相続です。人生でそうそう経験することのない相続手続きや相続対策をご自身で対応することはかなり難易度が高いと思って頂いてそれほど間違いはないのかなと思います。

では、いざ相続対策をしたい、相続手続きを行いたいと思った時、自分でできないとしたら誰にお願いをすればよいのでしょうか?

[図表4]相続における各士業の業務範囲

相続対策や相続手続きを業として行っているメンバーは図表4であげたように、弁護士、司法書士、税理士、行政書士などが一般的には知られています。では、前にあげた山田さんのケースでは誰に相談すればよいでしょうか?弁護士?司法書士?それとも税理士なのでしょうか。読者のみなさんにはなかなか判断が難しいのではないでしょうか。

このことが相続を難しくしている一つの要因です。

一般的には相続税の申告が必要であれば税理士、相続登記を行うなら司法書士、相続で揉め事が起こってしまったら弁護士、遺言を作成するなら行政書士といったイメージはお持ちだと思います。それは大方正しいのですが、相続というのは複数の手続きが発生することがあります。

相続税の申告が必要だが、相続登記も必要、不動産の売却もしなければならない、かつ相続人である兄弟姉妹で揉めているというケースは少なからずあります。

つまり、簡単な相続対策や相続手続きができるということはお願いする上での最低条件であり、窓口となっている専門家に任せれば相続に関するすべての段取りを整えてくれるかどうかがポイントになります。

その際、窓口となっている専門家が自分自身の専門知識しか持っておらず他の業務はよく理解していないのでは他の業務についてサポートをすることができません。窓口となっている専門家が相続について一つ一つの業務は詳しくなくても広範な知識や経験を持っていればお客様は窓口の一本化ができることとなります。

窓口の一本化と言えば簡単ですが、それほど簡単なことではありません。相続対策や相続手続きの経験をそれなりにこなしていなければうまくさばいていくことは難しいでしょう。

その見極めをお客様が行うことは大変難しいことでありますが、まずは窓口である担当者が相続サポートの経験が豊富にあることを一つの目安にして頂ければと思います。

※本記事は、2022年4月刊行の書籍『そうだったのか! 相続のトリセツ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。