【前回の記事を読む】やる気、根気不要!未来の名刺に書く「肩書き」だけで人生激変…

「それは前例がないから」「そんなこと非常識だ」そう言われたら興奮しよう 開拓者になれるチャンスだ

焼肉屋から焼きとり屋へと転身し、まるでフリーターな僕だが、忘れてはいけないのが専門学生であるということだ。おっと危ない、自分でもうっかり忘れそうになっていた。専門学校では授業をさぼってダンス三昧、そして夜は焼きとり屋でアルバイトリーダーという二足のワラジを履いていた。二足のワラジはこういう時に使う言葉ではないことは分かっている。

授業をサボるものだから当然といえば当然、単位がもらえない。しかしそこには補習というシステムがあり、心優しい先生は僕を見捨てることなく放課後に残って勉強に付き合ってくれるという。ダメだ、バイトの時間に間に合わない。

「アルバイトがあるのでお先に失礼しまーす!」

と言って教室を猛ダッシュで抜けだす日々だった。そう、アルバイトといえども遅刻はよくない。そんな日々を過ごしていると、僕は何のために学校に行っているのか分からなくなってきた。アルバイトはとても楽しかったし、その上お給料もいただいた。学校の勉強は楽しくなかったし、学費を払っている。両者を心の天秤にかけたらすごい勢いで軍配が上がった。

思い立ったが吉日「俺、学校辞めるわー」と友達に話すと、「マジ? 俺も辞めたい!」と二人の友達が手を挙げた。僕たちはその勢いで事務室へ退学届なる物を取りにいった。

「すいませーん、退学届ください!」

先生は驚いていた。三人同時に退学届をもらいに来る、それも満面の笑顔で。先生からは「三人同時など過去に前例がない!」と言われた。前例がないという理由で校長先生と個人面接するという特別なイベントが行われた。

一人は保育士を目指すために別の学校へ編入すると言い(これは事実)、もう一人は某有名証券会社に就職が決まったという華麗なる大ウソをついて面接を切り抜けた。天才すぎる。僕はというと「僕には夢があります! 今、焼きとり屋で修行中なのですが、近い将来自分で飲食店を開業します!」と自信満々に言ってのけた。もちろん、そんなことは口から出まかせで、もっともらしいことを言わないと面接が終わらず面倒なことになりそうだったからだ。

すると校長先生は眼鏡を外し、真剣な眼差しでこう言った。