つぎの日、少年しょうねんは、もううそをつくのはやめようと、思っていました。

すると、こんどはほんとうに、少年しょうねんの目の前に、オオカミがあらわれました。ぎん色いろのオオカミは、大きなくちをあけて近づいてきます。少年しょうねんは、こわくなってさけびました。

「オオカミだー!! オオカミがたぞー!!」

ところが、村人むらびとたちは、家から出でてきません。

「オオカミなんて、またうそだろう」

村人むらびとたちは、きっと少年しょうねんが、またうそを言いっていると思ったのです。少年しょうねんは、あせをいっぱいかきながらさけびました。

「ほんとうだ、ほんとにオオカミがたぞー!ぼくをしんじてー!」

すると、ぼくじょうぬしのおじさんだけは、かけつけてくれました。

「わたしは、おまえをしんじるよ」

見ると、オオカミはおそろしいうなりごえをあげ、いまにもひつじにおそいかかりそうです。

「みんな出でてきてくれー! ほんとのオオカミだー!」

おじさんの声に、村人むらびとたちもかけつけました。みんなは、ちからをあわせて、オオカミをおいはらいました。少年しょうねんは、おじさんに言いいました。

「おじさん、ぼくをしんじてくれてありがとう」

「おまえは、おもしろいいい子だよ。たのしいうそはだいかんげい。これからも、ひつじのばんをよろしくな。わたしは、おまえをしんじているよ」

それから少年しょうねんは、みんながこまったりかなしんだりするうそはつかなくなりました。かわりに、おもしろいおはなししをたくさんつくって、みんなをたのしませてくれましたとさ。

 
 

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※本記事は、2021年12月刊行の書籍『となりの童話』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。