地球上の発見と資本主義の拡大

一五〇〇年以降の近世に入ると、地理上の発見があり、商業資本主義として姿を現した資本主義は世界へ拡大しました。現実にはヨーロッパの諸強国による世界の大部分の、一部は暴力的、一部は商業的な征服の時代でした。

最初はスペイン人が大西洋を横断し、中南米の諸帝国を破壊し、その財宝を略奪しました。後にはイギリス、オランダ、フランスなども参入しました。

その背景には中世の終わりに、中国、アラブを経由してヨーロッパに入ってきた火薬などの技術が、近世ヨーロッパで銃火器の発達によって「軍事革命」が起きた結果得られた強力な軍事力がありました。

スペインは、中南米の帝国を征服し、鉱山で大量に採掘した金と銀をヨーロッパに持ち帰りました。これらの金銀はヨーロッパでの国際的な商取引における支払い手段となりましたが、それはヨーロッパでインフレを加速し、その大部分は最終的にスペインの王宮建築や軍事費として費消されてしまいました。

また、ポルトガルは、アフリカ南端をまわる航路を拓いた後、アジアに向かう海路の制海権をアラブ人から奪い、アジア・アフリカの沿岸の多数の港を自身の拠点に変えました。こちらにも、後にはオランダ人、イギリス人、フランス人なども進出し各王室がスポンサーとなる王室資本主義が展開されました。

彼らのやり方は、資本主義と言っても、急速に強くなったヨーロッパの軍事力を背景に、略奪に近い重商主義といわれるものでした。彼らは東南アジアに植民地帝国を築き、北米及びアフリカでの影響力をポルトガル人、オランダ人、イギリス人、フランス人相互で争いました。

※本記事は、2022年3月刊行の書籍『劇症型地球温暖化の危機を資本主義改革で乗り越える』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。