第3章 情報認知

4 時間の連続性を感じさせる〈ライブ表現〉

時間の省略を感じさせない

多くの映像作品では、「現実世界で流れている時間」と「映像世界で流れている時間」は違います。現実では1 時間の出来事も、編集した映像であれば10分で表現することができます。

短くするのは簡単ですが、時間を省略したことがあからさまだと、ライブ表現特有の臨場感を感じさせにくくなってしまいます。そのため視聴者に気づかせないよう自然な流れを保ちながら時間を省略しなければなりません。

同じ被写体で時間をつなぐ

時間の連続性の基本テクニックは適度なサイズ変化によるマッチカットとカットアウェイの組み合わせです。ライブ表現では同じ被写体でつなぐオブジェクトマッチ(連載第8回)が多用されます。

逆に同サイズ、同ポジションでつなぐジャンプカットは時間が飛んだように感じますので、ライブ表現においては一番避けなければならない手法です。

[図1]同じ被写体でつなぐ

別のカットを挿入するインサートカット

インサートカットは連続した流れのカットのなかに別のカットを挿入する編集方法です。カットアウェイの1つに当たります。たとえば、1カメで撮影していた場合、必要ない箇所を単純にカットしたらジャンプカットになってしまい、省略していることがバレてしまいます。そこで内容と関連性のあるカットをはさみ込むことでジャンプカットを防ぐことができます。

[図2]別のカットを挿入する

トランジション

カット間を効果でつなぐ手法をトランジションといいます。一番多用されるディゾルブ(オーバーラップする切り替え)は、「カットのショックを和らげる」「前後のカットの意味をつなげる」などの意図があるときに使用されます。

[図3]カット間を効果でつなぐ

編集を覚えたばかりの人は珍しいトランジションを使いたがりますが、多用しすぎると効果に溺れてしまうので注意が必要です。まずは効果に頼らず、カットのみでスムーズな編集ができるようにならないといけません。

流れをスムーズに見せるアクションつなぎ

カットを意識させないスムーズな編集テクニックの代表が「アクションつなぎ」です。

アクションつなぎは1つの動作を2つのカットに分け、動きの途中でカットを切り替える手法です。同一被写体の「動き」でつながれたカット同士は2つで1つのような一体感を感じるので、編集されたことすら視聴者に意識させないことができます。アクションの途中で切り替える際は一連の動きを10 とした場合、7:3 か3:7 の割合でつなぐとよりスムーズなつながりに見えます。

[図4]動きが完了してからカットを切り替えるとぎこちなく見える
[図5]動きの途中でカットを切り替えるとスムーズに見える

サウンドつなぎ

編集されていることを気づかせないスムーズな編集をするためには「音」のつなぎ方も重要です。「動き」同様に声、物音、音楽、効果音などの「音」に意識が向いている瞬間にカットを切り替えれば、編集のつなぎ目を意識させにくくすることができます。

〈セリフ途中にカットを切り替える〉

会話シーンを編集する際は「話している言葉のどこでカットを切り替えるか」という判断に悩まされます。 基本的には言葉の区切りがいいところでカットを切り替えますが、画と音がセットになってしまいツギハギ感を感じさせることも少なくありません。

音声の語尾だけを後続ショットに残すなどの編集は、先行ショットと後続ショットの一体感を高め、編集されていることを気づかせにくくしてくれます。

[図6]セリフの区切りでカットを切り替えるとツギハギ感を与えてしまう
[図7]セリフの途中でカットを切り替えるとスムーズに見える

高い臨場感を生み出す長回し撮影

ノーカットで長時間カメラを回し続け、1カットで見せる撮影技法を長回しといいます。編集がまったく入らない連続した映像は、高い臨場感と緊張感を生み出すため、まさにリアルタイムで自分がその場にいるような没入感を与えてくれます。

しかし、長回しをしながらリズムテンポのよい画を保つのはとても難しく、一度でも失敗すれば最初からすべてやり直しのため、役者とカメラマンに確かな技術が求められます。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。