これから挑戦したいのは、いずし・ベーコンなどの薫くん製・味噌や豆腐などを手作りしてみたい。食品加工は、今でも地域のお母さん方などがやっていたりして、わりと手軽に楽しみながらやれるものが多いので、面白いと思う。

また、去年から酪農の手伝いもしている。朝晩の搾乳のみの手伝いではあるが、本業の畑作をしながらやらせてもらっている。牛乳をはじめ、チーズ・バター・アイスクリームなどの乳製品は大好物で、八雲町は酪農家が多い。

我が農園だって、三十年ぐらい前までは酪農をしていた。父や祖父はやはり毎日搾乳をしていたようだが、僕が物心つく頃には牛をやめて畑作一本にしたので、牛の経験は今まで全くなかった。だが僕も、いち牛乳愛飲家として、牛家さんの苦労を知らないわけにはいかない。

今、搾乳の手伝いを始めて半年過ぎたが、しみじみと牛家さんの苦労を感じている。なんといっても大変なのは365日全く休みがないということ。休むためにヘルパーを利用する、という手もあるが、お金はかかるし頼んだからといってまるっきり気が抜けるものでもないようだ。

牛が産気づけば夜中でも飛び起きて行かなければならないし、それでなくても朝は早い、晩は遅い、汚れるし臭いもあるしで大変な仕事だ。この牛家さんの苦労があるからこそ、我々はおいしい牛乳や乳製品をいただくことができる。米を作る人、野菜を作る人、魚貝をとる人、牛乳を搾る人、肉を作る人、さばく人、加工する人……。そういう人たちに感謝する心を忘れずに、これからも食べ物を味わいたいものだ。

【前回の記事を読む】都会で生きづらさを感じたら。田舎暮らし、はじめませんか?

※本記事は、2022年4月刊行の書籍『山奥の笑顔百姓』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。