【前回の記事を読む】骨折を恐れると骨折しやすくなる!? 骨粗鬆症を予防するには

第3章 骨粗鬆症の食事

日本人はビタミンDが不足している!

ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種で、腸からカルシウムやリンの吸収を促進する働きがあります。ビタミンDが不足すると健康な骨を作ることができなくなり、子供は「くる病」、大人は「骨軟化症」になってしまいます。成人のビタミンDの推奨摂取量は、男女とも15〜20μg/日が目安とされています(注1)

しかし、実際の摂取量は、男女とも各年代で下回っています。ビタミンDは、食品からの接種と体内で合成されて供給されます。体内では紫外線にあたることで皮膚で合成されます。北欧では多くの方が公園で日光浴をしています。

日本では日光浴の習慣が無いことに加え、最近では美白が好まれて、肌のシミの予防として外出時に遮光剤を塗りたくって紫外線にあたることを避けている方が多いと思います。確かに紫外線を浴びすぎると皮膚の障害をきたすので、1日15分程度の適度な日照暴露が必要とされています(注1)

 

日照暴露時間は、住居地、季節、そして1日の時間帯により異なることに注意です。例えば、ビタミンD5・5μgが合成されるための日照暴露時間は、晴れた日の昼頃で、関東地区では、夏約4分、冬約20分、沖縄では、夏約3分、冬約8分、北海道では、夏約5分、冬は約76分です(日本人の食事摂取基準2020年版 ※小数点以下4捨5入)。

このように、北国の冬場は、ビタミンDが不足してくるので食品からの摂取が重要になります。ビタミンD不足を補うためには、ビタミンDを多く含む食品を毎日しっかり食べることが推奨されます。

ビタミンDは、魚ときのこに多く含まれています。ビタミンDを多く含む食品の中でも、特に乾燥させた食品にビタミンDが多く含まれています。カルシウムを充分食べても、ビタミンDが不足していると腸から吸収されずに、骨粗鬆症になってしまいます。カルシウムとビタミンDはセットで食べるようにしましょう。

 

※ 数字は文部科学省が公表している日本食品標準成分表2020年版より、可食部100g当たりに含まれる量を示す。小数点以下4捨5入


(注1)参考文献:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』ライフサイエンス出版、東京