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第二章 不合格後の足跡と体力維持

Jは不合格のハガキを手にして、このままでは中途半端だと考え、二〇一八年もチャレンジすることを自らに義務付けた。しかし、一通りテキスト・問題集をしているので、同じ方法だと不安に思い、そのころベストセラーになっていた本を買う。その本は、在学中司法試験合格/東大法学部首席卒業の才女が著者だった。

そこにはテキストは八回繰り返して読むことが第一とあったので、その通りにしようと考える。それを、夏以降十一月末までの勉強スタイルの基本とした。

また、勉強場所を市立図書館の二階自習室と決めた。自宅から自転車で一五分自転車は坂の下の家具屋の駐輪場に止め、そこから図書館は二、三分だった。自宅~家具屋~図書館が日課となる。

自習室は二階だが、開館の午前一〇時と同時に学生が駆け足で二階へ向かうので、五〇~六〇人収容の自習室の半分が学生たちで埋まってしまう。Jは空いた窓際の席を探す。年配者も三〇分ほどすると、二、三人になっていた。ここで午前一〇時~午後五時まで昼休憩一時間を除き、予定通り勉強を続ける。

九月末のある朝、左足に違和感をおぼえた。見ると、左足の甲のところが全体的に盛り上がり、捻挫した時のようにはれ上がっていた。表面も黒ずんでいる。親指も死んだような色、初めてだった。近くのクリニックに、朝一番で受付を済ませる。二〇分ほどして院長さんに診察してもらうが原因不明という。

甲の辺りを切って中のものを出すか、飲み薬で様子をみるか、と言われ、手術は小さくても嫌なので、薬を選ぶ。一週間ほどたつと治まってきて、そのまま元の状態に戻っていた。原因は不明というが、ここ二カ月ほど、自習室で座ってばかり、また、クーラーが効いていて寒いほど。血流が悪くなり、何かの調子で左足のこの部分に悪い作用をしたのではと思った。

それ以外思い当たらないので、体温の低下が原因と判断し、その後は厚めの靴下とひざ掛けを使い、あたたかい環境にしようと工夫した。

決めていた通り、テキスト四冊、問題集と共に八回は繰り返し読む。添削模擬テスト二回(一回六〇〇〇円)もクリアし、あと少しで合格ラインですよとアドバイスも得ていた。

そして一一月末を迎えた。今回も一二月初めの日曜日がテストの日。場所は昨年と同じ大学の校舎。やはり受験に来る人たちも若い人が多く、高齢者は一クラスに一、二名か。二〇一九年一月一七日合格発表の日、不合格のハガキが届いた。