【前回の記事を読む】イングランド国王ヘンリー8世が「6人もの王妃」を持った事情

1998年12月9日(水) シャンゼリゼ大通りのクリスマス・デコレーション見物記

-フランス人の洗練された美意識に脱帽-

今回のパリ支店出張は水曜日午後と木曜日で週末観光はできませんでしたが、水曜日の夜シャンゼリゼ大通りのクリスマス・デコレーションを見てきました。世界的に有名だそうで、道幅約70メートルの通り両側の並木に白色灯が垂れ下がり自動車のテール・ランプの赤色と一緒に小雨に濡れた路面に反射しています。通りの一方には凱旋門、もう一方にはコンコルド広場に立つオベリスクが見え夜遅くなっても買物客、散策する人で溢れています。実は2年前の12月に香港出張があり、ハーバー・クルーズの船上から赤、黄、緑の電飾で飾り立てられた高層ビルを眺めたことがあり、シャンゼリゼ大通りも多色飾りではないかと思い込んでいたのですが一本やられた感じです。イギリス人、ドイツ人と一緒に3人での出張だったのですが、彼らもフランス人の洗練された美意識 には脱帽していました。

 

ヨーロッパの各都市を巡りましたが、都市の美しさの面ではなんといってもパリが一番です。特にシャンゼリゼ大通りはその道幅、延長でヨーロッパのどの都市の目抜き通りと比較しても群を抜いています。規模だけで比べればニューヨークの五番街大通りの方が上との見方もありますが(大手総合商社ニューヨーク駐在員のCさん、嬉しいでしょう)、大通りに面して立つ建物を比べればニューヨークとの差は歴然です。ニューヨークは無機質の超高層ビルで非人間的な雰囲気なのに対し、シャンゼリゼ大通りは建物の高さを制限し建築様式もそろっていて何より美しい建物が並んでいます。都市の個性とは単に都市計画だけでなく、割当てられた敷地に企業・個人がどういう建物を建てるかにも依存するわけで、国富を示し国民性を象徴する面があります。この都市に住んでいればパリジャンが誇りに思うのは当然で独善的になるのも仕方がない面もあります。

唯一の問題は天気が悪いこと。月曜日から雨続きだったそうで、水曜日からは小雨になっただけましとのことでした。

追伸

今週のフィナンシャル・タイムズにヴェネツィアの水没防止策がイタリア政府によって否認されたとの記事がありました。過去10年間で80センチ以上の水位上昇(サン・マルコ広場を含む市内の12%が水没)が787回発生しており、このままだと来世紀中頃にはサン・マルコ広場は毎日水没することになるそうです。皆さんがヴェネツィア観光する時には大潮の日を避けるくらいで大丈夫そうですが、子供たちが熟年ヨーロッパ旅行する頃にはヴェネツィア観光ができなくなっているかもしれません。