リウマチは治る―関節リウマチ治療のパラダイムシフト

リウマチは治る病気になったと言われて20年近くなる。

2000年前後から使われ出した分子標的薬―生物学的製剤(Bio)の出現によるリウマチ治療のパラダイムシフトと呼ばれた現象がそれである。

従前の細胞全体に作用する薬剤から、関節リウマチの発症に関わる細胞表面の特定分子に作用する薬剤の出現で間違いなくリウマチの治療成績は改善した。患者はリウマチという病を恐れなくなった。人類の歴史的快挙である。

リウマチ関連医学界はBio、Bioの合掌の元、いっせいにBioに走った。当初は私もその一人であった。今卒業してくる医師はBio世代である。教える教官もそうだからBioのことしか知らない。患者が来ると当然のように第一選択肢としてBioを選ぶ。

しかしBioにも弱点がある。高価である上に確実に効果がある人は5割に満たない。全ての患者に使える値段ではない。全世界的に見ると先進国で2~3割、途上国で1~2割の患者への利用が限度であろう。残りの患者は使いたくても使えない。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『心の赴くままに生きる 自由人として志高く生きた医師の奇跡の記録』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。