7 ユイナとはどうなったの?

① 7> 相変わらず俺が一方的に喋ってユイナが適当に相槌を打ちながらの登下校って感じ。この頃から少しずつお金を取られるようになっていった。学校帰りに2人でプリクラ撮った事があった。多分仲間から2ショットのプリクラ撮って来いっていうミッションが出たんだろうと思う。本当に笑える。

普通は彼氏彼女でプリクラ撮ったら半分くれるじゃん? ってプリクラだった。学校帰りにマックやカラオケ、ゲームセンターにも行った。どこに行っても何故かユイナの友人と思われる奴と偶然、あくまでも偶然遭遇。毎回ゲームもしない、1曲も歌わない、ポテトの1本も食わない俺が支払い担当だった。この頃から搾り取ってやろう感が出てきた。友達が妊娠したから中絶手術のカンパ協力で1万円って事もあった。

4 ユイナが徐々に本性出してきたな。①はユイナのために頑張っていたのに辛かっただろうな。免許を取った事はユイナには報告したのか?

① 4> ユイナには免許の事は一切言ってなかった。言わなかったのにはいくつか理由があって、まずは本当に免許が取れるか自信がなかったってのがあるし、いきなり「実は俺バイクの免許持ってるんだ」って打ち明けた方がサプライズ感も加わってかっこよく映るかなって考えてた。

そして何よりこの頃俺の気持ちはユイナから急速に離れていっていた。会うたびに金をせびってくるユイナに(結局ユイナも今まで俺をいじめてきた奴らと一緒なんだ)と嫌気がさしてきていたし、何よりこのとき俺はユイナの事なんかよりも大きな問題に直面していた。

それは……バイクがない……そう、免許があるのにバイクがないという事だった。俺は父ちゃんとの約束もあり、免許取得の金はすべて自分の金を使った。教習所代、ヘルメット、靴、卒業試験料× 3、そしてユイナからの度重なる金要求……全部で20 万近くの金が俺から飛んでいき、免許を取った時点で俺が自由にできる金は殆どなかった。

母ちゃんは『バイクの免許を取る事は許可したが、バイクを買う事や、バイクに乗る事は許可していない』と往年の一休さんばりの理屈をぶつけてきて、とてもではないが協力してはもらえない。我が家の大蔵省? スポンサー様がダメと言ったらダメ。バイクどころか中古のスクーターすら買えない状態。

しかも、教習所では毎日バイクに乗っていたのに、免許を取ってからバイクに乗れなくなったという、わけわからん状態。16 歳の自分の無力さを歯がめり込むほどにかみしめていた。バイクに乗れるのに乗れない。バイクの快感を知っているだけに余計に辛く、まるで禁断症状のような日々。

見かねた松下さんが時々自分のバイクを運転させてくれたが、松下さんのバイクは大型で、普通二輪免許の俺は公道は勿論、本来なら空き地すら運転してはいけない決まり。何より、当たり前だが、好きなときに好きなだけ運転できるわけではない。毎日途方に暮れながら生活していた。

※本記事は、2021年10月刊行の書籍『タンデム』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。