マスコミは煽っているだけ

実際、2020年の死亡者数は、2019年より9000人弱程減少している。その大きな要因は、肺炎による死亡者数が、2019年の9万5千人から、7万8千人と大きく減少している事が考えられる。そして3500人程だったインフルエンザによる死亡者が、殆ど居なくなった。

これはコロナウイルスが流行りだしたために、多くの人間が手洗い等に気を付けたお陰で、インフルエンザは元より、肺炎になる人が大きく減少したと想定できる。敢えて歪んだ云い方をすると、コロナウイルスのお陰でインフルエンザや肺炎で亡くなる人が減ったとも云える。であるのに、日本ではこのウイルスで一人でも亡くなると、大きく報道される。一方で、自殺者が増えている事については殆ど報道されない。

頑張っている医療現場や自治体はあるが…

全ての医療現場や自治体がこの様なお粗末な対応をしている訳ではない。良心的な医療経営者や医療従事者は沢山居り、これらの人達にはどれだけ感謝しても足りない。しかしこれを個人レベルで対応しても、限界がある。それで二つの良い事例を紹介したい。

一つ目の例として、長野県松本市では、昨年ある私立病院が中心になって、コロナ禍での医療体制を構築したと聞く。重症患者を取り扱う病院、中等症患者を取り扱う病院、軽症者を取り扱う病院、そしてコロナ患者でない病人を取り扱う病院に分けたそうである。そして医療崩壊を起こさせない様に、独自の自治体内で様々な方策を取ったと聞く。これは立派なリーダーシップを取れる医療経営者が居たお陰で実現できた事例である。

因みに、この私立病院は、スピードスケートの金メダリストのスポンサーをしている病院でもある。このスピードスケート選手と私立病院は元々なんの関係も無かったが、信州大学卒業後に所属先が決まらず困っていたこの選手を病院が助けたとのエピソードがある。この様に社会に貢献する理念・哲学を持つ病院なので、松本市でもリーダーシップを取ってこの様な体制を取れたのだと思う。

最近では和歌山モデルが静かに評価されている。8月になってからの感染拡大時に、東京等の多くの都道府県では、感染が発覚した時の軽症者には自宅療養をさせている。そして自宅で亡くなる人が出てきている。

一方和歌山県では、感染が確認された人を全員入院させているらしい。その理由は発病直後は軽症であっても、突然重症化する事が多いので、全員入院させ、適切な治療を速やかに施せる様にするためとの事だ。そして病状が回復に向かった人を、自宅療養に切り替える方針を取っている。

この方法は理に適っており、その結果、和歌山県の死亡率は大阪との比較で約六分の一、東京との比較では三分の一との事である。この和歌山県での対応は、結果が伴っている。これらの事実は何を物語っているのだろうか?

それは、日本人は指導者がしっかりとした方向を示せば、ちゃんとした結果を出せるのに、指導者がダメだととてつもなくダメな方向に行ってしまう事である。少数ではあるが、良識ある人が間違った方向に向かっている事を指摘しているが、その意見は無視され社会から排除されてしまう。

そして一旦間違った方向に進むと、中々修正ができない。この問題点を把握し、その解決策も分かっているのに、実行に移せない、または移そうとしない日本人は、確実に民族として劣化しているとしか思えない。