【前回の記事を読む】優美で歴史あるバグダッドを夢見ていたが…眼前に広がっていたのは紛争地域の厳しい現実

一杯十円のうれしいお茶イラク

(タンヌマ)→イラン(コーランプシャー) 一九七四年二月七日

バグダッドを出発してチグリス川沿いに南下し、チグリス川とユーフラテス川が合流してペルシア湾に注ぐ港湾都市のバスラに向かう。バスは砂漠の中を果てしない地平線に向かって進む。バスの走行とともに、時間は経っていくが、周りの風景はまったく変わらず、バスは直線の道路を進む。

時々小さな集落が現れ、すぐにバスの後方に消えていく。あたかも旧約聖書に出てくるような(私の勝手なイメージ)、棕櫚の木々の間に、壁は泥で、屋根を葦で葺いた家や、壁と屋根ともに葦で作られた家、そしてテントの家などが点在する。

途中の昼食に立ち寄った食堂では、男女別々の部屋で、女性は暗くて小さな部屋で食事。回教の戒律は家父長制度であり、男尊女卑である。成年女性は男性とは同席しない。

バクダッドから八時間半でバスラに着く。バスラに一泊して、翌朝チグリス川とユーフラテス川の合流点のフェリー乗場に向かう。イラクでも冬の早朝は吐く息が白くなるくらい、とても寒い。フェリー乗場周辺の道端には、屋台の店で熱いお茶とパンを売っている。寒い朝に白い湯気が出ているお茶はとても魅力的だ。

[図]チグリス川とユーフラテス川の合流後のイラクからイランへの国境渡河地点