第2章 骨粗鬆症の予防

骨粗鬆症に対する予防法と治療法

骨粗鬆症に対する治療の基本は食事、運動、そして薬剤です。骨粗鬆症は主に高齢者に発症する病気ですが、若い頃から発症する方もいます。それには骨代謝に関係する疾患やその治療に関連して発生する続発性骨粗鬆症がありますが、注意すべきは過度のダイエットによる骨粗鬆症です。

骨量は30歳代でピークとなり、その後は下がる一方です。若いときにしっかり食事ができていなかった方は、早期に骨粗鬆症になります。また、乳製品が苦手な方も比較的早い時期から骨粗鬆症になります。骨量と運動にも密接な関係があります。なんらかの理由で運動を中止すると骨量は一気に減少します。

運動することで骨を作る骨芽細胞が刺激されて骨形成が促されます。骨粗鬆症の方で「転倒して骨折するのが怖いから運動をやめてしまった」とそれこそ本末転倒で笑えない話があります。骨粗鬆症は、先ず予防です。若いときから食事をしっかり摂って運動しましょう。

薬物は、年齢や骨粗鬆症の状態により、薬の特性を考慮して処方されます。薬物療法は単独で行うものではなく、食事療法と運動療法と併せて行われます。

[図表1]骨粗鬆症に影響を与えるもの

骨粗鬆症の治療目的は骨折予防です

骨粗鬆症はなぜ治療しなければならないのでしょう。答えは、骨折することで健康寿命を損ねるだけでなく、下手すると命を失うからです。かつては大腿骨近位部骨折(太もものつけ根の部分の骨折)のあとに短期間でお亡くなりになる方が多発していました。最近は骨折したら直後に手術することで術後の死亡率を下げられるようになりました。

しかし、骨折をきっかけに認知症に関連する誤嚥性肺炎になったり持病の心臓病が悪化したりしてお亡くなりになってしまう方もいます。そもそも骨折しないように骨を強くしておくことが重要なのです。

骨折予防には1次予防と2次予防があります。市民検診で骨密度の低下が指摘されて骨粗鬆症治療が開始されるものが1次骨折予防、骨折後に次の骨折を予防するためのものが2次骨折予防です。自分の骨密度に関心をもって骨折予防に取り組みましょう。

[図表2]骨折予防の仕組み