【前回の記事を読む】あなたは大丈夫?孔子をして「人間おしまいだな」と言わしめるほどの人物像とは

学び合う友達を作る

孔子は旅を続ける中で、仁を身につける方法について弟子たちに話しました。

「生まれながらにして仁の心を身につけている人もいるだろう。自分の意思で、仁の心を学ぼうとして努力する人もいる。貧しい生活の中で、たいへんな思いをした上で、仁の心を学ぼうと努力する人もいるでしょう。しかし、困窮し、苦労しても、仁の心を学ぼうとしない人もいます。ようは学ぶ気持ちがあるかどうかが、大事なのです。そして学ぶ気持ちがあるならば、身近な生活の中でも十分に学ぶことができるのです。

それには、一番の近道があります。なんでも話せる二人の親しい友達を作ることです。その二人の友達と一緒に、自分も合わせて三人で、遊んだり一緒に勉強しながら、その二人の友達から、良いところを学び、見習うことです。友人の言動や振る舞いの中には、必ず尊敬できる部分があります。その部分を敬い、見習うのです。

友人の中に師匠を見出すことができるものなのです。また、逆に悪い言動や振る舞いを見たら、そのような悪い言動や振る舞いを真似しないように心がけるのです。それを続けることで、次第に仁の心が身についていくものです。

たとえば、家を建てようとする大工さんが、いい仕事をしようと志すなら、ノコギリや、かなづち、カンナなどをそろえなければなりませんが、できるだけ良い道具を選んで、大切にするはずです。これと同じことです。自分が尊敬できる良い師匠を見つけること。そして、仁の心を高めようと一緒に学ぶ、志の高い友を選び、その友達との関係を大切にすることです」

そして孔子は次のようにも言いました。

「三人の友人を作るにあたって心がけるべき大切なことがあります。それは、自分にとって有益になる友人と、害になる友人が、それぞれ三種類あるということです。有益な友人とは、正直な人、誠実な人、そして知識が豊富な人のことです。逆に、平気で嘘をつく人、悪人なのに善人ぶる人、誠実さがなく、言葉巧みなだけの人。これらの人は、あなたの人生に害をもたらすことになるでしょう」