【前回の記事を読む】牛から馬へ…西ヨーロッパの中世における偉大なる農耕の新機軸

イギリスの(第一次)農業革命─ノーフォーク農法(輪栽式農業)

イギリスの農業革命

イギリスの(第一次)農業革命は、イギリスの産業革命の前段階として起きました。イギリスのノーフォーク州のコークにおいて(一七五四~一八四二年)行われましたのでノーフォークの農業革命といわれました。

しかし、これは急にイギリスで出現したというのではなく、前述しましたように、その前にオランダなどで行われた農業上の革新の集大成でした(すべての革命はその前に少しずつ進んでいた革新があるとき集大成されて革命となると言われています)。

このイギリス産業革命の前に出現した農業上の革新を農業革命といいますが、『自然の叡智 人類の叡智』ではそのような農業革命が後にも現れたと考え、これを第一次農業革命としました。

まず、この(第一次)農業革命とは、従来の三圃制にかわって、ノーフォーク農法あるいは輪栽式農業といわれる高効率の農法が発明され、農業生産性が高まっていったことを指します。

従来の三圃制は、冬作の穀物→夏作の穀物→休耕地(放牧地)と、ローテーションを組んで農地を三区分して耕作するもので、休耕地では家畜が放牧され、その排泄物が肥料になり、土地を回復させる手助けとなりました。

ただ、これでは、飼料が不足する冬季に家畜を飼うことが困難という欠点があり、冬を前に家畜を保存食料へと加工する必要がありました。

ところが一八世紀より飼料用の根菜植物(カブ)を導入し、大麦→クローバー→小麦→カブの順に四年周期で行う四輪作法を行うと、休耕地がなくなり、牧草栽培による家畜の飼育が可能になりました。

この農法は、牧草や冬期の飼料としてのカブを導入することで家畜を年中飼育し、休耕地をなくす一方、糞尿による施肥効果で穀物の生産性を著しく高めました。