妹が家に帰ってきた

「しおちゃーん、だっこしたげる」

長かった入院生活を終えてしおちゃんが家に帰ってきた。僕と珠ちゃんはまだまだ小さなしおちゃんをベッドからそっと降ろして小さな手を握ったり柔らかなほっぺをツンツンしたり抱っこをしたりして遊んだ。でも中々しおちゃんは笑ってくれない。

うーん、どうしたら笑ってくれるのかな? そんなことを考えることでさえも初めての妹との暮らしとお兄ちゃんになった実感とでとても楽しかった。最初は怖かったおじいちゃんもいっぱい遊んでくれるようになって最近では寝る時はおじいちゃんとおばあちゃんの間だ。

とある夜におしっこがしたくて目が覚めた。部屋は真っ暗だけど隣の部屋の明かりが襖の隙間からもれていて誰かがひそひそ話をしているのが聞こえた。おじいちゃんとお母さんだ。

「栞は多分脳にも障害があるって。それと手と足がうまく成長しない病気だって」

「お前一人では育てられないだろう」

「……うん。でもすぐに仕事は見つける。なるべく迷惑かけないから」

なんだか難しい話。

「だから、あいつに任せればよかったんだ」

お母さんが泣いている。

「子供たちがいないと生きていけない」

おしっこを我慢して静かに布団に戻る。ゆらゆら揺れる電気の紐を見ながら考える。僕はどこにいても邪魔者なのかな。ここにもいちゃだめなのかな。

みんなに嫌われないように明日からもっと元気に笑っていよう。そしたらおじいちゃんも笑ってくれるはず。しおちゃんももっと笑ってくれるはず。おじいちゃんもおばあちゃんもお母さんも近くにいてくれるのに夜はやっぱりなんか、寂しいな。