首都の機能を全国の要所に分散することについては災害という切り口で論じてきたが、停滞を起こしている経済にショックを与えてリセットすることがもう一つの目的である。

かつて遥か昔、古代といわれる時代には遷都という、都を他の地域に移す大事業がたびたび行われてきた。平城京や長岡京、平安京などがそれにあたる。武士の時代が到来してからは、鎌倉、大阪、江戸など、政治や経済の中心となる地の利のある場所に本拠地が置かれ、都市機能を整備しながら栄えていった。

日本でも昔からリセットを行ってきたのである。また、世界的に見ても古代から現代まで数えきれないほど、遷都は行われてきた。

為政者は、都を自らの手で他の地域に移し新たに作り上げることによって、自分の強大な力を民衆に理解させるという目的もあったろうし、リセットすることによって経済を活性化させて国を豊かにするという別の重要な一面もあったのではないのかと考える。

最近の例で言えば、ドイツでは東西ドイツの統一にあたり首都をボンからベルリンに移して、1999年に議会や政府機関を移転している。

また、ブラジルでは1970年当時に、リオデジャネイロからブラジリアに三権機関の移転を完了している。まだ沢山の例があるのだが、歴史的に評価されるものもあれば、逆のものもあるらしい。

ただ、日本においては、巨大地震に対する備えと、停滞を起こしている経済にショックを与えて活性化を進めるという意味でThe Great Reset of JAPANの中の一つなのだ。

これらについて、政府と国会は真剣に考えて勇断を下すべきである。

※本記事は、2022年3月刊行の書籍『The Great Reset of JAPAN 日本の再生方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。