【前回の記事を読む】99%の人々の生活の質が低下…資本主義社会に見る原因とは?


第3章 現代政治の実態

日本の現状

政治と金の癒着問題は、以前からのことである。

1974年の参議院選において、当時の田中角栄首相は、経団連に260億円を用意させ、さらに100億円を借り入れたとして後に司直の取調べを受けることにもなった。

当時、自由民主党内部では、選挙費用は「一人2億円が相場」だといわれていたと聞く。もちろん現在でも、現職議員たちは次の選挙に備えて資金を準備しなければならないだろう。現職議員の「1年間の総支出の平均は1億1645万円」だというから驚く。

つまり、当選した議員は多くが多額の出費を補い、かつ次の選挙資金を必要としているわけである。だから、大企業や富裕層がそれを利用すれば、「少数の富裕者に有利で、大多数の国民に不利」な政治が行われるのは当然の成り行きで、そこに現在の資本主義社会の悪循環が生じているのであろう。

また、現在は経済連が政党の政策評価をして政治献金の判断基準としているが、本来は国民が議員の政策評価をして議員選出の判断基準とするべきなのである。

なお、2012年に献金の目安となる政策評価を廃止した民主党政権当時の総務省は、政治資金収支報告書に政治献金など144億2千万円と公表し、これが過去最低であると報道された。

それに反して与党に復帰した自民党は、2013年の本部の総収入だけでも233億円と報告している。

このように献金額が低かった民主党ではあるが、資本主義系の議員が多くいたために、期待したほど民意を反映できず、政権を取っていた期間も極めて短かった。

そして、政権が自民党に戻ってからは、経団連が政治との連携強化に一層意欲を示すことになった。これに対して政府も解雇規制緩和などを検討したが、それは大企業・資本家を優遇し、その他の働こうとする国民に職場を失わせるものでもあった。

そのうえ、政府は景気回復のためにと金融緩和を繰り返させているけれど、緩和された金は中小企業などには回らず、富裕層のマネーゲームを促し投機などを盛んにして、一般国民をますます貧困にしたのである。

それは、日本経済新聞が2014年4月の株価下落の原因を、「日銀による追加金融緩和観測が支えた先週までと異なり今週は1週間で1100円も下落(中略)緩和頼みの相場のもろさが浮かび上がる」と報道したことからも知られるであろう。

更に、アベノミクス(注1)は、まず「大企業の経済成長を図り」、それによって「中小企業も潤い国民の生活は向上していく」と説明しているけれど、大企業と中小企業の業績格差は2012年の10兆円から2015年の19兆円(注2)と3年間で急拡大しているのであり、いかに「国民のために政治を行う」かのように偽装していても実際には「富裕層・大企業にとって有利な政治をしていること」は明白なのである。

(注1)安倍首相が自画自賛した経済政策。

(注2)財務省の法人企業統計を基に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが試算した数字。

藤田孝典著『貧困世代』講談社現代新書、2016では、「非正規雇用の拡大やブラックバイトなどでわが国の将来を支える若者たちが今後も生活の困難さや貧困を抱えていく(資本主義の)社会構造」を指摘している。

労働運動総合研究所(東京)の調査によれば、今やブラック企業などの被害は「若年層だけでなく各年齢層まで広がり、さまざまな業種にも及んでいる」という。