()つかった()ヤギたちは、(おお)あわて、「にげろー にげろー」えんとつの(なか)を かけのぼり、みんな やねの(うえ)にあがりました。

()ヤギたちの あとをおって、オオカミさんは えんとつの(なか)を のぼろうとしますが、(あし)がすべって、うまくのぼれません。

オオカミさんは くやしがって、(おお)きな(くち)をあけたまま、まっくらな えんとつの(なか)を 見上(みあ)げています。

()ヤギたちは、(うえ)から (いし)ころをなげ入れました。

(くち)をあけていた オオカミさんは、(いし)ころを たくさん のみこんでしまいました。

「いたい、いたい、おなかが いたいよう」

オオカミさんは、おなかをかかえて ころがりまわりました。

そこへ、お(かあ)さんヤギが、(かえ)ってきました。やねの(うえ)()ヤギたちが おりてきて、

「オオカミさん、(いし)ころ なげたら ()べちゃった。だから おなかが いたい いたい」

(なな)ばん()が、はしら時計(どけい)(なか)から(かお)()して、

「こわかったよう。だけど、オオカミさん、いたい いたい かわいそう。お(かあ)さん なおして あげて」

オオカミさんは、なきながら あやまります。

「ごめんなさい、ごめんなさい。もう みんなを()べないから、たすけてください、おねがいします」

(かあ)さんヤギは、

「やくそくだよ、オオカミさん。(すこ)し いたいけど がまんしてね」

そういうと、オオカミさんのおなかに えいっと(あたま)をぶつけました。オオカミさんは、(いし)ころを みんな はき()しました。

(かあ)さんヤギは、オオカミさんに ヤギのミルクをあげました。オオカミさんのおなかは すっかりなおりました。

それから、オオカミさんは、()ヤギたちと なかよく あそんで、()ヤギたちを まもってくれるようになりました。

(かあ)さんヤギは、おれいに いつも、ヤギのチーズやミルクを、ごちそうしてあげました。

(なな)ばん()()ヤギも、やさしくなったオオカミさんが こわくなくなりましたとさ。

 
※本記事は、2021年12月刊行の書籍『となりの童話』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。