【前回の記事を読む】ざまあみろ…中原中也を哀れに思った「おかしなゴミ箱事件」

アンリ・マチス 「青い水差し」

プーシキン美術館展で見事な青に出会った。アンリ・マチスの青に。

一番期待していたのは、ゴーギャンの「働くなかれ」だったけど、それよりも圧倒されるような青に出会った。暗い色調の中から、突如出現したような青い水差し。絵に近づく前から、水差しが光り輝いているような気がした。テーブルの黄色も見事だった。

ピカソの青も人を引き付ける。青の時代の絵が一番好きなのだが、悲しみが充満しているような青を描ける人は他にいないかもしれない。「マジョルカ島の女」にも「逢引き」の青にも引き付けられた。

私は青に酔い、青に慰められ、濃密なひと時を過ごすことができた。

日帰りだったけど、横浜まで来て本当に良かったと思った。