第3章 情報認知

1. 情報を伝え理解させる「情報認知」

映像表現の要となる情報伝達技術

テレビ番組、CM、記録、広告動画など映像の仕事はそのほとんどがなにかしらの「情報」を伝え、理解させることといっていいで
しょう。映像は文章や写真よりも圧倒的に情報量が多いため短い時間でより多くの情報を認知させることができます。

第1章で「伝えたいこと」は物理的・言語的である「情報」と精神的な観念である「メッセージ」に分かれると解説しました。

伝えたいこと=「情報」と「メッセージ」
情報=内容・事実・知識=物理的・言語的な事象
メッセージ=想い・教訓・思想=精神的な観念

「情報認知」とは視聴者の情報の知覚、理解、記憶を助ける映像表現の要となる技術です。

知解と体解

わからないことが「わかる」という現象は、知解と体解に分類することができます。知解とは理論や知識を頭で理解することをいいます。それに対して体解とは体験を通して体で理解することをいいます。

知識として知ってはいたけれど、実際に体験したことによって心から理解できた、という経験は皆さんもおもちだと思います。当然ながら体解は、より深い理解と長期記憶に結びつきます。

映像を使い理解を助けるためには、ただわかりやすく説明をすればいいわけではありません。体解を伴った映像視聴は、実体験と同じような効果をもたらすことができるのです。

伝えたい情報を100%理解しているか

人になにかを伝えるときは、自分自身が伝えたいことを深く理解する必要があります。自分が理解しきれていないのに、なにかを伝えたところで、受け手が理解できるはずがありません。

この伝えたい情報が、簡単に理解できる内容、自分の興味に関連している内容とは限りません。現実的にはとても難しいこと、興味の薄いことをひたすら勉強しなくてはならないときがあります。

視聴者に難しいことをわかりやすく理解してもらうために、作る側は伝えるべき内容を十分に理解しなければならないのです。どんなに頭がパンクしそうでも伝えるべき内容から逃げずに向き合うことが情報認知の第一歩といえるでしょう。

情報認知の4要素

情報を効率よく認知させるには、感情移入と情動喚起を促し知解と体解を助けなければなりません。

情報認知を促す映像表現の手法は、以下の4つに分類することができます。

ライブ表現:時間と空間の体験
デザイン表現:時間と空間の設計
具体表現:受動的に理解をさせる
抽象表現:能動的に思考をさせる

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。