はじめに

2017年12月8日、私はフィリピン特別永住権「APRV」(The APECO PermanentResident VISA)を取得しました。

その前の数年間、海外の永住権を取得したいと思い、数々の国の永住権や投資ビザを調査し、実際に申請してきましたが、やっと念願がかなったのです。私が海外の永住権を取得した理由は、「日本と海外を行ったり来たりするデュアルライフを安定的に行うための権利を獲得したい」と強く思ったからです。

私はAPRV取得時45歳で、今も資産運用のコンサルタントをしています。投資顧問会社に勤めた後、独立して個人のお客様数百人を対象に資産運用のアドバイスを行っています。

そのため、世界中の投資情報を入手する必要があり、1年のうちの3分の1近くを海外で過ごすようになりました。そしていつの間にか、海外で暮らすことも視野に入れるようになったのです。

私は日本人であることに誇りを持っています。世界中の国を見渡しても、これほど住みやすい国は見当たりません。

イギリスの『エコノミスト』誌が「世界で最も住みやすい都市ランキング10」を毎年発表しています。政治的安定性、社会的安定性、治安、教育水準、医療制度などの項目を考慮し、総合的に評価しランク付けされるものですが、最新のランキングでは大阪が第3位、東京が第7位と日本の都市がベスト10に2つも入っています。米国やイギリス、中国の都市は1つも入っていません。

私はできることならば残りの人生の大半を日本で暮らしたいと考えています。しかし、昨今日本を取り巻く環境が大きく変化しようとしています。台風や地震などの自然災害の多発、中国や北朝鮮と隣接していることによる地政学的リスク、超高齢化と人口減による国力低下の懸念、優秀な人材の流出、そして財源確保のための増税の可能性など、数多くの問題が山積しています。

仕事柄、特に気になるのが、国が国民の資産を管理、把握しようとする意図が顕著になってきていることです。例えば、日本国内で新たに銀行口座を開設するにはマイナンバーが必要になりました。海外との送金や受け取りの際もマイナンバーの提出が必要です。

また、今後全世界で実施される銀行口座の自動情報交換(Automatic Exchange Of Information=AEOI)においても、マイナンバーの提出が求められます。これにより、国民の資産と所得を国内外を問わず完全に把握して、申告漏れを防止しようと必死になっています。

また、日本は相続税の最高税率が55%と世界的に見ても負担の高い国です。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを見ても最高税率は30~40%となっています。その一方、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシアはそもそも相続税がない、もしくは相続税が廃止されています。

所得税や法人税を納税し、残った財産に課税されるのが相続税です。相続税率の高さは「取れるところから取る」という国や税務当局の姿勢が表れているように思えます。さらなる増税リスクに鑑みて、日本を捨てて、海外に移住する人が増えたとしてもおかしくありません。

これまで日本は素晴らしい国でしたが、10年後、いや20年後は安心して住める国かどうかは誰にも保証できません。冒頭にお話ししたデュアルライフの実現の夢には、このようなリスクを回避することも要因にありました。

私がフィリピンの永住権をどのように取得するに至ったかについては、次回以降の記事で説明していきます。また永住権の歴史や、国内で話題になる主な国の永住権の紹介もさせていただきます。

結論から申しますと、永住権を取得する必要性が年々高まっていますが、逆にどの国もどんどん取得が難しくなっているのが現状です。その状況の中で、取得のコスト、利便性などから考えて、私がお勧めするのはフィリピンの永住権、とりわけ私が手に入れたAPRVです。

連載記事の中で詳しく紹介させていただきますが、何よりまずフィリピンが日本に近く行き来しやすいことがお勧めの理由です。複数の拠点で仕事をする場合など、デュアルライフの第一条件です。そして物価が安く、英語が堪能でなくても十分暮らせることも挙げられます。

さらにフィリピンの各種永住権の中でも、APRVは最も短期に割安に取得できます。このようにコストパフォーマンス抜群の永住権を手に入れられるのは、ラストチャンスだと思っています。

ところで読者の皆さんに一つお伺いしたいことがあります。皆さんの多くは生命保険に入っていると思いますが、なぜ生命保険に入るのでしょうか。経営者の方の中には節税のために多額の生命保険に入っている方もいらっしゃいますが、一般的には「万が一のときの備えとして加入する」というのがその理由だと思います。

永住権の取得もこれとまったく同じことです。日本に住み続けられればそれに越したことはありませんが、万が一日本が住みづらくなったときのための保険の役割が海外の永住権だと私は考えています。

昔から「備えあれば憂いなし」と言います。いざという時の保険として、フィリピンの特別永住権を取得されることを検討されてはいかがでしょうか。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。