2章 責任構造物としての防災施設の使命

土堤原則を頑なに守り続けて大災害を繰り返す大罪

既存の堤防・防潮堤は「砂上の楼閣」に過ぎない

防災構造物を代表する河川堤防の「土堤」は、古人が現場近くの土砂を掘って積み上げた土饅頭を三角錐型に成形した断面を構造物の原形としている。この土堤が受け持っている役割は、川の水が増水して水嵩が上がれば堤体の内部に生えている雑草が水をはじき、増水した全体の水のエネルギーは堤防の重量で受け持っている仕組みである。

構造物を地盤に載せただけのフーチング構造であって、延々と続く長大構造物であるが、延長方向に絡み合い結び合って引っ張り合う一体構造機構ではなく、土の上に手巻き寿司を伸ばして置いてあるような脆弱な構造体である。こうした構造を科学的に見ると、自然界の大きな威力を持った災害力に対抗するに足る原理的な機構を最初から備えていない。

重要な構造物を構成している材料を分析すると、土堤を構成しているのは「土砂」と「雑草」であって、地震波等の繰り返し起こる振幅運動や衝撃、また水に対しての抵抗力は弱く、地震時に地震波を受けると、土堤を構成している土砂は液状化して沈下し、原型をなくしてしまう。続いて水の攻撃を受けると、土砂は洗い流されて粘着力が奪われて崩れてしまう。

いずれも、長大構造物の形状を保つことは原理的にできない。また、フーチング構造の最大の弱点は、構造物を地球の上に載せている構造であるため、激流で底面が浸食されるか、壁体の裏側に水が回るか、水が壁体を貫通すると簡単に倒壊してしまう構造であり、責任構造物に求められる「粘る」ことができない。

土堤を原則とし、フーチング構造でできた既存の堤防や防潮堤は、構造体を形成している重要な原材料が、目的とする責任構造物には適合しておらず、構造物自体も地球の上に載せただけの長大構造物で、正に「砂上の楼閣」である。安定を求め、繰り返しの粘りを本分とし、絶対に崩壊してはならない責任構造物として使命を果たす原理を最初から持っていない。国民が信頼の絆とし、安全安心の砦としている既存の河川堤防や防潮堤は、科学的にも原理原則からしても信頼のおける構造物ではないのである。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『国土崩壊 「土堤原則」の大罪』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。